震災日録 4月14日

きのう、4月2日の光源寺でのおにぎり作りの映像を見ていたら、まだ10日しかたっていないのに、世界は刻々動いてしまっている。あのころ関東圏の野菜が取りざたされたが、それから関心は福島市や飯館村の放射能の高い数値、海洋汚染と魚の安全性へとくるくる動いている。きょうは千葉県産のサンチュが話題だ。しかし出荷自粛と言ったって独自に計って基準以下のものを売るのがどうして悪いのだろう。

原発への不安は消えないが、ニュースでも比重は少なくなり、東京から避難しようという気持ちもなんとなく薄くなってきた。のど元すぎればなんとやら。水もマスクもどうでもよくなってしまった。人間は慣れるのだ。ニュースも「収束の目途たたず」のみで詳しいことを伝えなくなった。

おととい荒川さんに原子炉についてあれこれ教えてもらったが、だんだん吐き気がしてきて頭痛もひどい。なんで上の方に使用済み核燃料がおいてあったのか、危ないじゃないか、テロにでもあったらどうするんだ。全部ばれちゃったじゃない。かといって下に置いてあったら安全というわけでもない。どこかへ持っていくわけにはいかないの、あ、そうか、六ヶ所村は拒否してるんだ。窒素を入れて圧が高まらないのはどこかから漏れているんでしょ。セシウムもそこから漏れているわけ? なんてシロウト考えをぶつけてみるがいっこうにわからない。わからない技術で作った電力を使うのはいやだ。

鳴子・川渡温泉みやまの板垣さんから電話あり。「天罰だなんて言った石原慎太郎を都知事に四選するなんて東京都民はどうなってんの?」いわれると思ったよ。東京消防庁の活躍のおかげでしょうか。「結城登美雄さんはちょうどうちでインタビューを受けていた時に地震でよかったよ。移動中だったらあぶなかったしょ。結城さんは海辺の町も村も全部見て歩いて付き合いがあったから。ああいう人は大事だよ」
そういえば私も結城さんにくっついて唐桑に行ったことがある。あのとき、おじいちゃんに妙に気に入られて大きな石のついたおもちゃの指輪を「これ、おめにやる」ともらったものだ。あのおじいちゃんどうしたかな。みやまさんは「地震以来、客が来なくてね。すいてて何時でも泊まれるから来て」という。「あたしも講演はいくつもキャンセルだし、新聞の連載は紙が足りなくて始まらないの」というと、「そうか。東京も被災地だね」