*トピックス

去年のことだけど、谷根千工房は「下町人間の会」から『下町人間庶民文化賞』をいただきました。このところ賞に縁のなかった私たちですが、この賞はとても身の丈に合っていて、谷根千の最後を飾ることができました。みんなシャイなのでご報告が遅れました。ご推薦いただいたのは不忍池の地下駐車場反対運動をいっしょにがんばった台東法律事務所の清水洋弁護士をはじめとするみなさんです。
下町人間の会は1977年に小池夢坊さんらの提唱で始まった。趣意書には「古きよき下町の誇りある遺産を受け継ぎ、理解を深め、現代に活かす」とともに「虚像の都会に人情の温かさと潤いのある生き方を求め、普及し、物欲あふれる現代社会に人間本念の姿を顕象し、皮相な流行文化を打ち砕く」などの激しい言葉もあります。

その第1回のの受賞者は谷中に住んだ新内がたり岡本文弥さんであったとは、『長生きも芸のうち』の伝記作家としてもうれしい。

第2回 木下繁太朗さんは下町の赤ひげと慕われた医師で、鉄砲洲診療所長。夫人が協和会の理事長木下安子さんであられる縁で、谷根千の仲間たちは繁太朗先生の別荘に毎夏遊びに行かせてもらっています。

第3回 沼田潔さんは谷中在住の台東区議で、反戦平和、生活擁護に活躍、その娘さんには池子の森を守る運動で知り合いました。
波木井皓三さんは演劇評論家で吉原大文字楼の息子として生まれた苦痛を谷根千27号『回想の桜木町」に書いてくださいました。
山田大さんは根津の魚問屋の大旦那で、そのお店日本丸大さんでは谷根千を毎号10冊づつ買ってくださいました。

第5回 嵯峨敝全さんは上野東照宮の宮司で、不忍池地下駐車場反対運動でご一緒し、いろんなことを教えてくださいました。反戦誓いの火を境内にともしています。
服部浩久さんは千駄木3丁目のタバコ屋さんで、バブル期、執拗な地上げの脅しに屈せず、裁判で勝ちました。谷根千12号を見てください。

第7回 阿部孝平先生はよみせ通り診療所の所長。谷根千を応援して診療所で普及してくださったかた。
おなじく伊川浩永さんは本郷法真寺住職、一葉資料館を造り、11月23日の一葉忌には境内で谷根千普及に協力してくださいました。

ほかにも田端文化座の鈴木光枝さん、根津診療所の赤沢潔先生、上野動物園の飼育課長小森厚さん、谷中領玄寺の中濃教篤住職はじめ谷根千を応援し、多くを教えてくださった方々が多数、授賞されていて、一人一人の言葉やたたずまいを思い出しています。