6月28日-29日

由布院でいつも至福の文化記録映画祭。田名加旅館も居心地抜群である。朝ご飯もおいしいし。一緒に泊まった中公の安倍七重さんを外からの鍵で露天風呂に閉じ込めてしまった。

もうしわけなし。ことしの映画ではなんといっても「ある精肉店のはなし」であろう。町の中の生業、屠畜という仕事、差別、祭り、家族いろんなテーマが重層的に説得的に描かれる。

兄弟もだが、おばあちゃん、むすめさん、およめさんのなんと魅力的なこと。そして監督の最初はおずおずしたカメラワークが最後はぐっとよっていく。対象との距離と理解の関係。そしてトークの纐纈監督の人柄に会場は魅了されたと思う。「祭りの馬」「オオカミの護符」も十分力作なのだけど、これだけ文化人類学的傑作がならぶと重すぎて、最後の映画ではみんなぐったりしていた。松川賞は二作とも疑問。「オイシサをつくる」、さすが松川八洲雄、まるでナレーションの緊張度と美しさが違う。脱帽。