大工の息子が川越に行ったことがないというので行く。7年前までこの近くの大学に勤めていた。私は大学おちこぼれ。喜多院、大正ロマン通り、蔵の町並みを歩く。息子も蔵の豪華さに驚いた模様。屋根がすごいよ。小川菊が荘並んでいなかったので初鰻。きゃあ、日本の食べ物でこれほどおいしいものはないと思うがな。
日本に二人といない、ノコギリの目立て屋の伊藤さんをお訪ねする。腕のよい職人さんはいきいきしてみな目がきれいだ。それでももう後継者はいない。オリンピックなんかに金を使う暇があったらこうした国宝級の職人を守り、存続を保証すべきだ。大工がいい仕事をするにはノコギリの目立て職人が必須、伊藤さんは「いい目を建てるにはいいヤスリが必要だがその職人がいない」という。宮大工の仕事も面白い、いい仕事だがゆったり家庭を持つほどの収入はない。施主の寺社はけっこう裕福な暮らしをしているというのに。変なこの国。