11月18日

一枚の繪、東京人、千駄木の漱石など校正。詩人の阿部日奈子さんからダニエル・シュミットの素晴らしい本翻訳したのでと届いたのを見ている。阿部さんは明治の随筆家で私の好きな馬場孤蝶のひ孫である。彼の名著「明治文壇の人びと」がウェッジ文庫に入ったので解説を書かせていただいた。
お父様の阿部洋さんにお会いしたことがある。「ふらっと出かけては森さんに辰猪や孤蝶のはなしを聞いていただくことが、父の何よりの楽しみだったのではないかと思われます」との日奈子さんの手紙の言葉に、連れ立って見えた、これもなきペリカン書房の品川力さんとおなじく背の高い、そして孤蝶の面差しにそっくりなお父様の面影をまざまざと憶い出した。