2月23日

武谷なおみさんが東京駅のスレートの募金に3万円も送ってくださることになった。ややこしくて不思議な話。
大阪芸大教授でシシリア文学の研究者の武谷さんは故・須賀敦子が残してくれたともだちである。ひさしぶりに上京されて先週の土曜日、一緒にお茶の水でランチをしていたら、2時からのオペレッタ『ベニスの一夜』の切符を持っているお友達が急用で行かれなくなったと電話あり。それで一席余りちゃっかり私がご一緒してしまった。そのオペレッタは陣内秀信夫人の美子さんが公演のお世話をされ、須賀さんの友人の大町志津子さんが衣装をデザインされた。人のえにしを思う。
そのチケット代、武谷さんと私の分をお友達にお払いしようとしたら、受け取っていただけなくて、森さんの東北支援に使ってという伝言があった。そのお友達とはパラディオの研究者の渡辺真弓先生なので、武谷さんは震災後に神戸の谷崎旧居の保存もされた方でもあり、雄勝のスレート産業復興募金にいただくことになった。あと一万円は武谷さんのご夫君(歴史遺産学の研究者)のカンパ。あまりにありがたく不思議なお話なのですみません、書いてしまいました。
というかそのオペレッタのすばらしいことがいいたかった。初めて見たのだが、歌も仕草もセリフ回しもとっても上手で、あちこち笑えるし、楽しいことこのうえない。それなのに日本オペレッタ協会は資金難でこの35年公演でひとまず解散するのだそうな。
文化庁も歌舞伎や能や文楽に補助するのもいいけれど、渡来ものとはいえ、こんな楽しい文化を支えないのはこまるなー。どんなに技術があってもフランス人形では伝統工芸士にも人間国宝にもなれない、と聞いたことがあるが、狭間の分野というのがあるのかもしれない。ポップスや演歌は売れればいいし、クラシックはコンクールも多くて顕彰もされるが、ジャズやシャンソンやファドやカンツォーネの歌手はなかなか日が当たらず、経済的にも大変。