震災日録 7月10日 ヤノマミ

57歳の誕生日、朝、和歌山のユタカから電話。多宝塔の解体修理も大詰め、震災や原発のことはほとんど意識にない毎日という。ヒロシがプレゼントにチョコレートケーキを買って来てくれる。サトコは手ぬぐいと無化調ラーメンの本くれる。ほんとラーメンずきはこまる。集英社の横山さんは毎年お花を贈ってくれる。昨日に続きほおずき千成市へ、ほうろうのみかさんのチキンライスは1年に1回ここでしか食べられない。相変らずうまし。3時から蔵で「ヤノマミ」を見て、制作者国分拓さんをみんなで質問ぜめにする。

ヤマノミはアマゾンにいる原住民。シャボノといわれる円形の住居に共同で住む。真ん中は広い運動場。そこでお祭りや綱引きをする。原則一夫一婦制。採集経済で少し耕す。

ほとんどハダカ。ことに女は保守的で何も付けない。赤い糸みたいな装飾、においのするくさや花を体に飾り、体に色でお化粧、縄文の石器の模様みたいな波や丸の模様を描く。

食事はサルの頭とか野ぶたのこげたのをかじる。みんなで獲ったものはみんなで分ける。1日500カロリーくらいだそうだ。

圧巻は14歳の少女が妊娠し産む。しかし自分で育てるかどうか決め、育てないと判断した場合は首をしめ、バナナの葉に包んでシロアリの塚にいれ食わせてしまう。女が性の自己決定権を持っているわけだ。もういい悪いとは言えない世界。中絶技術は持っていないらしい。尊敬する佐藤忠吉さんは「生産力を人口が上回ったら戦争や間引きは避けられない。それは人類愛の究極の姿」と言っておられたのを思い出す。勇気ある発言だが。優れたドキュメンタリー作家は原一男にしても池谷薫にしてもどこかワルな匂いがする。国分さんもどこかそんな感じの人。撮るときは撮るんだもんね。どんなに嫌がられても。それにしても自分が近代という視点から何でも考えているのを省みる。

ヤノマミも貨幣経済や近代に侵されているところはきれいにトリミングされていた。台湾や中国、タイ奥地、インドネシア・カリマンタンなどの村は言ったことがあるが、まさかアマゾンでは住めまいなあ。