2018年7月 のアーカイブ

7・22

2018年7月24日 火曜日

民主党枝野幸男代表の野党五党を代表しての「安倍晋三内閣不信任決議演説」を聞く。枝野さんの自衛隊や金融緩和についての政策には異見もあるが、彼は世襲政治家ではない。安倍や河野のよう贅沢になれていない。本当に世の中を良くしようと、政治家になりたくてなった。その中でほとんどペーパーを見ることもなく2時間45分語りきる言葉の強さには感銘を受ける。

特に気に入ったところ、下に引用します。これでも書き起こしの10分の一くらいなので、読みやすいと思います。お急ぎの方はどうぞ。じっくり読みたい方はこちらを。

https://note.mu/jun21101016/n/n2782bfee0c00

※青文字 引用箇所

1 保守の本質

そして、保守の本質は何か?

それは、人間とは不完全な存在であるという謙虚な人間観です。人間は、すべての人間が不完全なものであるから、どんな政治家がどんな良い政治をやろうとしても完璧な政治が行われることはありえない。常に政治は、社会は、未完成・不完全なものである。それが人間は不完全なものであるという謙虚な姿勢にもとづく保守の一丁目一番地です。

保守反動という日本語がありますが、そもそも反動では保守はありません。今も不完全な社会です。しかし、過去においても理想的な時代はありえなかった。未来においても理想は実現できない。でも、今あるものをちょっとずつでも良くしていく。これが保守ですから、保守と反動は相対立する概念であります。

一方で穏健保守という概念もありえません。なぜならば、保守とはもともと穏健なものであります。反対意見を封殺し、自分が正しい道を信じて邁進する。まさに保守思想が否定をしたフランス革命の急進的な思想であります。

従って、保守とはそもそも穏健なものであり、穏健でない保守が保守を名乗るのは自己矛盾であります。

もちろん、人権意識。そのことによる男女平等を始めとして、あるいは先ほど申し上げました労働法制もそうかもしれません。様々なものが欧米から流入したことによって進化をしたものもたくさんあります。それを元に戻せと言うのではありません。しかし、それまで積み重ねてきた我が国の社会のあり方の良い部分をこうした人権問題に対する意識が大きく前進をした中で、それを取り入れて、それを活かして、いま我々先進国が共通して直面している壁にどう立ち向かっていくのか。わたくしは本来の保守のとるべき道はそういう道であるというふうに思っています。

森コメント)私も今の自民党が保守とは思ってません。歴史も文化も保ち、守っていません。日本の良いものを全て壊そうとする規制緩和、乱開発にいつも賛成するのは自民・公明の与党でした。フランス革命の時のジャコバン派の際限なきテロル、断頭台送りを見るに見かね、保守という概念は出て来たのでしょう。

私自身、初期は アカとか、過激派とか、色々言われたものですが、古民家を、記録を、コミュニティを、池を、森を守って来たので、保守と言っていいでしょう。しかし、地域の中で私たちと一緒に頑張ってくれたのは、共産党や社会党、無所属のリベラルな人々でした。

戊辰戦争において、幕閣は新しい時代に対応できない低脳だ、幕軍に加わったのはバカだ、という薩長史観には組みしません。しかし、日本が近代になったのは悪いことではなく、その流れの中で男女平等や婦人参政権も出て来たのです。人権意識を大事にしながら、近代の弊害を是正するというのが、現代の我々のすべきことでしょう。

2 カジノ問題

我が国には、世界の国々の多くの皆さんから見れば、そうした皆さんとは違った歴史、風土、文化、あるいは生活様式、そして自然。我が国には様々な観光資源として魅力あるものがあります。まだまだそうしたものが世界の皆さんに十分に伝えられていない部分も山ほどあります。あるいは受入の体制が十分ではないために魅力ある観光資源を持ちながら外国人観光客がなかなか来て頂けていないところも少なからずあります。まさにやるべきは、そうした観光資源を魅力的なものとして世界に売り出し、そして、日本の本来の良さを見て頂くために日本に来て頂く。それこそ日本の伝統と歴史を大事にする立場の人たちの意見ではないかと私は思うんですけども。

森コメント)枝野さんが、持統天皇のすごろく禁止令を持ち出しすとは思いませんでしたが、カジノは我が国の歴史的伝統にはない。大規模災害時に不要不急のカジノ法案を与党がゴリ押しして通したことに対する意見です。インバウンドと言って外国人集客に躍起になっているが、その目玉はカジノなの?日本にはもっと素晴らしい観光資源、文化資源はたくさんあるんだよ、と。例えば、私の住む谷根千にはたくさんの外国人が来ています。彼らにとって何が魅力なの?と聞くと「Neighborhood」

と答えます。近所があること、みんなの関係があること、小さなお店、パン屋、酒屋、焼き鳥屋、豆腐屋、お米屋、イベント、お祭り、・・・それが魅力なんです。身ぐるみ剥がれるカジノ、いらないです。

3 アベノミクスの限界、内需は拡大しない、格差の拡大、若者は不安定、労働者は低賃金のまま

本当にやらなければならないのは、実はバブルの前と後で大きく変わったのは、個人消費が大きく落ち込み、落ち込んだままであるということであります。個人消費が増えない限り、日本の経済の安定的な成長が実現できないのは自明の理であるとわたくしは考えます。

*人手不足なのに低賃金というのは、マーケットがどこかで歪んでいるからです。その歪みを正すのは政治の役割です。低賃金であるならば賃金が上がる。そのことによって「賃金が高いから重労働かもしれないけど、頑張ってやろう」とそういう方が増えて、市場が機能して、人員が確保させることに残念ながら例えば、今回の長時間労働を是正する働かせ方改悪法案の数少ない改善部分である長時間労働の規制も低賃金、重労働、長時間労働であるトラックドライバーなどの皆さんについては先送りをされてしまいました。
繋がるんですよ。

森コメント)これもその通りだと思います。日本の最低賃金は848円で、スイスの三分の一、イギリスやワシントン、シアトル、ルクセンブルグのほぼ半分です、ドイツは1479円です。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=861077380759832&set=a.105408879660023.1073741829.100005727332110&type=3

森コメント)私の息子は今、フランスで大工をしていますが、月給は安いけど、金曜の午前中で仕事は終わり、金・土・日は好きなことができます。すでに六月に2週間バカンスをとって、サルディニアに行ってきました。十月にはまた休みを取って、私のためにイタリアに行こうと行っています。もう帰ってこないでしょう。「人生は楽しむためにある」のですから。

*高齢者問題

それは元気なうちは良いけども、病気やあるいは介護が必要な状況になった時に「せめてわずかな預貯金でも残しておかないと心配だ」という意識に多くの高齢者の皆さんが陥ってしまっているからであります。その結果、1500兆を超えるとも言われている金融資産。そのうちの多くを占めている高齢者の皆さんの貯蓄が消費に回っていません

一石二鳥です。それができないのは介護のサービスが不足をしていること、年金や医療を含めて老後の不安が大きいから。老後の安心を高めることこそが経済政策です。景気対策です。

森コメント)高度成長を乗り切っていいご身分だねえ、と言われる我が母たちの世代も貯金は持っているが、使いません。いざとなって入院したらどのくらいお金がかかるか、老人ホームにどれだけお金がかかるか知っているからです。

*若い世代の暮らしにくさ

産む、産まないの選択を迫るのではなくて、産みたいと希望しながら、それをできていない人たちをどうやったら希望を叶えて頂けるのか。そのことこそが、政治のやっていくべき役割だと思います。

なぜ、なぜ産み育てたいと希望している人たちが産むことを実現できないのか。まさに、子育てと教育と雇用のこの3つの大きな問題があるからに他なりません。1つは保育所の不足に代表される子育て支援の不足である。そして、教育の問題。教育、かつてわたくしの時代も「奨学金をもらって頑張っているんだね。あの人は」という同級生もいましたが、非常に数が限られていました。しかし、今や奨学金をもらわないと進学できないという人たちの比率は圧倒的に高まっています。わたくしは国立大学の出身ですが、「某私立大学に行きたい」と言ったら、「学費は最低限出せるけども、なかなか色んなこと含めて全体の大学に関わる金は出せないね」と言われて国立大学を選択しました。その当時と比べると国立大学の学費はべらぼうに上がってしまっていて、「国立なら行かせられるけども」とそうした状況ではなくなってしまっています。

森コメント)この通りです。今の若い人は、奨学金の返済に苦しみ、生食にはなかなか着けず、どうして家庭を持って、子供を産む条件があるでしょうか。国立大は私の頃1973年、1万2千円、私立が12万円でした。
今は国立が数十万、私立だと100万以上します。卵やバナナと比べたって、授業料ほど上がったものはありません。

*介護職員や保育士の賃金の底上げという政策は、そこに集中的に財源を投入するのかということが、まさにどこに向けて景気対策を進めていくのかという象徴的な姿であり、少なくともカジノを進めるよりは100万歩経済に効果のある政策だとわたくしは確信を致しております。

*農業者のあんしん

どんな年でも最低限、翌年の再生産が可能な安定的な一次産業の経営を担っていただく。そのためにいわゆる所得補償制度をとることは先進国の農業政策においては今や常識となっている。私たちは、これはまさに農業を守る、食の安全を守る、緑を守る、と同時に特に過疎地域などにおける経済を回していく最低限の前提条件として必要なことだと思っていますが、安倍政権はこれに逆行する政策を今までとっているわけであります。

森コメント)安保といってもアメリカ軍の押し付ける戦闘機などにお金を湯水のように使いながら、食料安保は全くできていない。食べるものがなかったらこの国は終わりです。世界中が食料に苦しんだら、日本に輸出してくれる国などありません。

4もりかけ問題

国有地が8億円もダンピングされたというのは、その分の税金が食い物にされたのと意味は同じです。
全貌解明に協力をしない。そうした与党の姿勢こそが、まさに税金の無駄遣いを生み出す、膿(うみ)そのものではありませんか?
第二に申し上げなければならないのは、安倍総理の昭恵夫人が夫人付きの公務員である谷査恵子氏を通じて行政に問い合わせるという関与をしていました。

森コメント)その通りです。谷さんはイタリア大使館にご栄転ですが、何か、イタリア語でもできるんですかね。ただ逃したってだけでしょう。

モリカケ問題に関連しては3つ目、加計学園問題であります。
愛媛県の一連の記録と照らし合わせれば、明らかにこの加計理事長の説明は矛盾をしており、この理事長の「雰囲気で作り話をした」という釈明こそが虚偽であるのは明らかであります。
この真相解明を妨害するような、そうしたプロセスの中で出てきた公文書の改ざん問題であります。・・・国会から求められている資料提供や報告を求められている案件について公文書を改ざんしたということはどういうことか。国会を騙したということであり、国会を通じて国民を騙したということに他なりません。・・・ま、そもそも昨年のモリカケ問題発覚以来、怪文書と最初称していた文書が実は本物だったことの繰り返しではないですか。
一連の森友問題、加計学園問題はいわゆるスキャンダルではありません。行政の公平性、連結性を損ねる。放置をすればモラルハザードを招く。社会と国家の危機であります。

森コメント)加計正文って先祖、東大英文科で夏目漱石の門下だった俊英ですが、かなり子孫は劣化したようです。

5不誠実答弁、民主主義のはきちがい

全部ずらした、ごまかした答弁をしているということで加藤厚生労働大臣、そして安倍総理。「ご飯論法」と世の中から嘲笑われる結果となっている。聞かれたことに正面から答えないだけにはとどまらず、聞かれてもいないことをダラダラ、ダラダラ、ダラダラ、ダラダラ、ダラダラ、ダラダラしゃべり続ける安倍総理の姿勢。それにとどまらず、平然とウソをつき、開き直る姿勢がますます顕著になっています。
小野寺防衛大臣、「飲みながら指示してたのか」と指摘を受けたので、慌てて撤回をしました。
河村予算委員長。総理との会食直後に「総理が集中審議は勘弁してほしい旨、発言していた」と明言をされている。ま、翌日撤回をされている。
そもそもが民主主義は多数決ではないんです。民主主義というのは主権者である国民みんなでものを決めて国を動かそうというのが民主主義なんです。少数意見を納得させようという意思のない多数決は、多数決の濫用です。

多数決が少数の人たちを納得させる手段として正当性を持つためには、多数決を前提として正しい情報が開示されなければなりません。
その手続きをこの国会で全く踏んでいない上に、安倍政権は立憲主義そのものも破壊工作を進めています。歴代自民党政権が積み重ねてきた憲法の解釈を一方的に変える。憲法というどんな数を持っていても、そういう理不尽なことをやってはいけませんよということを決めているルールを憲法改正の手続きもとらずに勝手に無視して集団的自衛権の一部行使容認を進めた。まさに立憲主義も立憲民主主義もわきまえない姿勢である。自分たちに都合の悪い法案はいくら日程がスカスカであっても審議に応じないことをしておきながら、国会運営に抗議をして出席できない状況をサボっているだなんてデマを吐くことはやめて頂きたいと思います。

森コメント)立憲というのはかつては輝かしい言葉でした。日本が憲法を持つまでにどのくらい苦労したか。1882年の立憲改進党(大隈重信)、1900年の立憲政友会(伊藤博文)、1913年の立憲同志会(加藤高明)→立憲民政党(浜口雄幸)、など与党側もみんな立件を名乗っています。枝野氏が尊敬する名演説家、反軍演説の斎藤隆夫も立憲民生党に所属していました。この憲法に基づく政治を行う、という立憲主義が今こそ大事な時代はありません。

6、行き詰まる外交、混乱する安全保障政策

繰り返しますが、安倍政権が発足して5年半です。
どうもロシアだけは日露関係の進展によって色々いいことがあるようですが、我が国にとって重要な北方領土問題の進展は全く見られず、行き詰まっていると指摘をせざるを得ません。
朝鮮半島をめぐる問題はさらに深刻です。安倍総理や河野外務大臣は「最大限の圧力」のみを唱え続けている。「北朝鮮との国交断絶」を他国に求める発言まで河野外務大臣はなさいました。
これは圧倒的にアメリカ優位の契約内容になっていると言われている。防衛装備の調達について、我が国の安全保障上の必要性よりもアメリカが売りたいものを「言い値」で買っている。

森コメント)もうこれは解説の必要も無い事実でしょう。それで沖縄の人々を苦しめてもいます。

7、官僚システムの崩壊

公文書を組織的とも言える形で改ざんした佐川 前理財局長は停職3ヶ月。その3倍の停職9ヶ月。よっぽど酷いセクハラをしたんでしょうね。セクハラじゃないなら、よっぽど酷い信用を損なう行為について、一定の説明があって然るべきではないですか?その中で官僚の皆さんが入省時に思ったであろう「国家・国民のために働きたい」という本来の思いを実現できるような官僚システムを実現するために一刻も早く安倍内閣には退陣して頂きたいと思っています。

森コメント)本当に、高級官僚と言われる人の中にも尊敬できる人もいますし、国民のために、恵まれない人のために、頑張っている人も少数ですがいると思います。私はすでに何人もの幹部官僚から、「新国立競技場問題は森さんが正しかった」「あれが進んでいたら大変なことになっていた」とお礼を言われました。
おそらく、ザハ案がそのまま進んでいたら、日本は神宮外苑に巨大な温室を作ることになり、費用はうなぎのぼりになっていたでしょう。それは物を考える公務員にはわかるはずです。「面従服背」ではなく、思い切って直言する、信念を披瀝する、そういうことができないとインパール作戦になります。そういう風土を作るためには、国家公務員の幹部や専門職の中途採用とか人事交流も大切でしょう。