ブラシ屋稼業46年、川口善弘さんの賃金推移
1959(昭和34)年 15歳 1日当たり 50円(月給1500円)
1974(昭和49)年 30歳 同 5000円(月給15万円)
2005(平成17)年 61歳 同 5万円
「ひと月の稼ぎ? だいたい平均すると100万ぐらいかな。そのうち三割が材料代だから、粗利は7割だわね。金額は仕事によって違うよ。1時間やって2万円の仕事もあれば、1日で2万って時もある。まあ、最低2万は稼げないと、やらないけどさ」
東日暮里2丁目18番地(前回までのタカノと同町会)にある『川口ワイヤーブラシ製作所』は、工業用ブラシを製造する町工場だ。主、川口善弘(よしひろ)さんは1944(昭和19)年生まれの61歳。荒川区から技能功労者(荒川マイスター)と認定済みで、業界では、たしかなものをつくるブラシ屋、として広く知られる存在だ。
「ここんところ忙しすぎて、ちょっと参ってんだよ。忙しすぎるってのは、よくないね。これ、ほんとだよ」
ブラシには工業用の他に、歯ブラシ、化粧用、産業用、各種刷毛などたくさんの種類がある。モップやデッキブラシだって、もちろんその仲間だ。
「うちなんかすき間産業。だから、人はあまりやりたがらないわな」