日暮里駅前にあった都千家(旧南文蔵邸)で小川三知のステンドグラスに出会ったのは十七年前。
風車とチューリップのある風景。
家の前を通るたびに、見上げていた二階の窓だ。
「さんち」という不思議な響きが気になっていた。
その後、特養ホーム「千駄木の郷」のラウンジに、本郷の十河邸からステンドグラスが移設された。
ラウンジでお茶を飲む。
柔らかな光があたりをつつむ。
そうだ、ステンドグラスを探してみよう。特集しよう。
ステインドグラスとは色硝子を種々なる形に切りたるを鉛紐の媒介によりて接合せしめて模様を作りたるを窓の装飾をなす技術を言ふ。ステインドグラスの本来の意義は染付けられたる硝子である。即ち我等が日常謂ふ所の色硝子のことである。
ステインドグラスの起源は年代不祥である。それに就いて諸説あれども、記録の拠るべきなく、又遺物の伝存せるものなき時代に於いては畢竟臆測たるに過ぎず、而して其の之あるは第十一世紀となす。独逸アウグスブルグ寺院の窓の二聖徒の像を現はしたるステインドグラスは即ち当代の遺物として現存せる最古のものと称せらる。
小川三知「モザイック及ステンドグラス」
『アルス建築大講座』(一九二六〜二八年発行)
WEB通信で谷根千では見られないカラー写真をどうぞ。
第一弾 科学博物館
第二弾 東京国立博物館、旧岩崎邸庭園
第三弾 町の中で
第四弾 池之端仲町の黒澤ビル