!新谷根千ねっとはコチラ!

台湾視察旅行報告2004

ゲスト連載の一覧へ   ↑台湾視察旅行報告2004の目次へ   <-前  次->  最新
台湾旅行報告 二日目
2004年3月10日(水)  守本善徳

台北の古い町

松金さんのガイドで、台北市内をバスで移動しながら、総統府をはじめとする政府の建物が林立する霞ヶ関みたいな町を通り抜ける。移動中もたてものと歴史について、たくさん説明してもらう。ここ数百年の台湾の歴史はめまぐるしく、学びたい気がムクムクしてくる。

川沿いにある古い町へ行く(名前を失念)。乾物とウーロン茶の混じったような甘い匂いがする。この匂いは台湾についたときから感じていたもの。日本にも同じように特有の匂い(醤油、味噌かな)があるんだろう。3月20日に迫った総統選挙の運動員の人がCD-ROM付きパンフレットを配っている。へぇー。

乾物屋の建物は大きさ、デザインが東大の赤門前、本郷通りにならぶ古いたてものに似ている。どんどん崩れていて建て替えも進んでいるらしい。通りはきれいな石畳になっているけれど、松金さんによると、ほんの少し前まではこんなにきれいじゃなかったとのこと。歩道(というか店頭というか)には屋根があってアーケードのようになっているけれど、店の切れ目ごとに段差がすごい。私有地を歩行者のためにアーケードにしているらしい。この旅行の後半で台南の町を歩いたときも同じだった。

乾物屋街には栄養状態のよさそうな野良犬がいた。一本横の通りのマーケット周辺の屋台には、毛を毟られてつるされた鳥と籠に入って元気な鳥がいる。ちょっとシュールな風景。鳥インフルエンザを思い出してすぐ忘れる。

あまり時間がないので早々に空港へ移動。これから台南に行くのだ。国内線の空港に到着する。国際空港に比べるととっても近い。まあ国際空港が遠いといっても成田ほどではないのですが。昼ご飯は空港のカフェというか食堂で麺をいただく。ガガっと食って、さっと出るといった感じの食堂だけれど、なかなかにおいしい。僕は牛骨麺(だったかなぁ)、森さんはザーサイなんとか麺を食べている。

台北事務所の松金さん、楊さんとはここで一時別れる。
この先台南を中心とする旅程では、陳永龍(男性;アーロンと呼べ)さんがガイドで、通訳に楊さん(台北事務所の楊さんとは別の女性)。このお二人とは三泊四日ずーっとご一緒することになる。
飄々としたアーロンは日本語で話せないこともあって、最初はあんまりコミュニケーションできていないのだけれど、旅行の後半では馴染んですっかりおもしろおじさんになっている。 通訳をしてくれる楊(Su-chi Yang)さんは、日本で博士号を取って現在は明新科技大学で助教授をされている。楊博士なのだ。さっぱり気持ちのいいガハハ系32歳独身女性。

台南到着

台北から台南へは飛行機で大体50分ぐらい。途中かなり高い山脈を越える。亜熱帯でも山の上にはちゃんと雪がある。 僕はこの旅行の間、時計を持っていなくて時間が全然わかっていません。そのうち時間をあんまり気にしなくなってきました。なので50分というのはちょっと怪しいかも。 ちなみに台湾は日本と時差が1時間。日本の12時が台湾では11時。
飛行機の北京語(台湾語?)なまりの英語のアナウンスは聞き取れなかった。日本語なまりの英語のアナウンスは聞き取れるのにね。

台南到着。東京の夏に比べれば全然暑くない。台南は亜熱帯だから暑いと思い込んでやってきたけれど、それほどでもない。夜は、Tシャツ一枚で外にいると少し肌寒い。見渡すと長袖を着ている人が多い。

バスで今日の宿(お寺)に向かう。午後は宿近くの小学校で行われるシンポジウムに参加するのだ。

宿に到着。お寺といっても、ちょっと想像と違う。真っ赤な太い柱に壮大なたてもの。広大な前庭(150M四方ぐらいはある)。このお寺にはマ(女偏に馬)租という神様が祭られている。一日目の九份での勉強がここで活きる。この壮大で派手なお寺の横にある地味目のたてものが今日の宿。日本のお寺のお堂を想像して来たけれど、ちゃんとしたホテルの部屋と同じ。湯船はなくてシャワーだけだったけれど。

荷物を置いて、シンポジウム会場の台南市立土城小学校まで5分ほど歩く。

シンポジウム

エライさんの挨拶と講演が約1時間半。聞き流す。楊さんの同時通訳がイヤホンから聞こえる。ここは休憩していいよと伝えたいけど、そうもいかない。

このシンポジウムは台湾教育部(日本の文部科学省にあたる)が進める「ふるさとをまもろう」運動の成果発表、交流会とのこと。丘(きゅう)さんとおっしゃる、森さんが日本を案内したことのある人が司会を務める。丘さんはアーロンも敬愛する教育部でも偉い人らしい。ゴッドマザーといった貫禄のあるやさしそうな女性。

小学生によるフィールドワークの発表が5つほど。どのグループもプレゼンテーションはPowerPointで作った資料をスクリーンに映しながら。子供にしかできない研究と発表でなかなか楽しい。例えば、学校周辺の遊休地の有効活用。空き地になっている地主のところに何で空き地にしているのか聞きに行って、活用方法を提案する。なかなかすごい提案もあって、大人にはムリだ。話す内容を丸暗記していて、あっちこっちになったりしているようで、楊さんが笑っているのがイヤホン越しに聞こえる。

お寺に移動。マ租の祭られたお寺を小学生の説明を聞きながら歩く。エライさんの話とは違ってちゃんと聞く気になる。さっきプレゼンしていた女の子のひとりがここでも説明している。できる子なんだろうな。

夕食は、シンポジウムに参加されている先生方とご一緒して、体育館前の広場にテーブルとイスを並べて。どこで作っているのか不思議なくらいちゃんとした台湾料理が次々と運ばれてくる。飲み物は、トマト、ブドウ、メロンなどのフレッシュジュース。台南は果物が豊富でおいしい。でもお酒は出ない。ちょっとしょんぼりしていると、同じテーブルにいた先生の一人が、金門高粱酒というのをどこかから調達してきてくれる。58度。強くておいしい。
僕のとなりには殷さんという教育部の官僚の女性が坐っている。漢字と英語でコミュニケーションすると、もどかしいけれどなんとかなるものです。殷さんは今年の7,8月と東大に留学するそうで、僕たちが東大のすぐ近くに住んでいることで盛り上がる。
このシンポジウムのホスト役、土城小学校の校長先生がカラオケを歌う。小学校の体育館の前で。なるほど。

台南の夜

夕食が終わる頃、一部の先生方が台南の市内へ出かけないかとお誘いくださる。 20人ぐらいが車に分乗して台南の町へ繰り出す。飲んでないから車でいける、飲んでないのにみなさん結構ハイテンション。

台南の町の真ん中、夜で静まった小学校前。警備員さんになんだか説明していると思うと、あっさり門が開いてみんなの車を止める。いいのかなぁ。

歩いて孔子廟へ。孔子を祭ってあるお廟です。お国が管理していて普通の人がお参りにいくようなところではないそうです。周りが公園風に整備されていて、夜の街中の公園となれば日本も台湾も同じ。カップルがあちこちに。

うろうろと歩き出す。台湾はどこにいっても治安がいいと感じる。聞くと東京と同じで、一人歩きしないほうがいいところもあるけれど、普通に歩けるところがほとんどとのこと。
大きな道を一本渡って、途中の路地を入ると、下町風のたたずまい。路地の奥にはお寺があって広場がある。もう夜9時か10時ぐらいだけれど、小学生ぐらいの子どもが走り回っている。ここまでは車は入ってこれない。町の真ん中に小さいお寺と広場。良い感じです。近所で焼き鳥屋さんをしているおじさんが現れて(カキイレドキにいいのかな)話が始まる。
このおじさん、お寺が政府によって壊されそうになったときに、反対していろんなイベントをこの広場で始めたとのこと。そのときの写真を見せてもらったりして盛り上がる。なかなか素敵な場所でした。おじさんの小学生ぐらいの娘さんが元気でかわいかった。

帰りは台南で大人気というカキ氷屋さんにみんなで入って(といっても席は道端)カキ氷。フルーツたっぷりで名前のわからないものもたくさん入っている。ふと見ると、土城小学校の校長先生がフルーツカキ氷をカキ込んでいる。校長先生も遅くまで大変だ。こんな時間に、大人がこんなに集まって、酒を飲んでいない不思議。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
守本善徳守本善徳 システムコンサルタント
愛知県名古屋市に生まれ、石川県七尾市で大きくなって、東京都文京区でもっと大きくなる。2000年より谷根千ねっとの運営管理者(残念ながら食い扶持ではない)。
ゲスト連載の一覧へ   ↑台湾視察旅行報告2004の目次へ   <-前  次->  最新
ページトップへ