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くまのかたこと

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1月1日、1月2日、1月3日

1月1日(木曜日)
ユタカは朝早く羽田へ。沖縄の寄田勝彦さんの牧場で過ごすのが恒例。行くたびに大工の息子は鳥小屋や馬小屋を造っている。4時に母の家で新年会。今年は簡単にしゃぶしゃぶにする。父の死をきっかけに家族の絆がつよくなり、弟は大学生のおいの話をじっくり聞いてやっている。
弟の家族は二年続けて丸森のはたけにきた。まだ小さい子供たちは草むしりをし、山に登り、温泉に行き、川と海で泳ぐ。去年来た時はすでに、懐かしい、といった。
何度もいくところはふるさとになる。そんな夏を自分の子供には与えてやれなかった。せめて小さな甥たちにいい思い出を作ってもらいたい。

1月2日(金曜日)
今日もあたたかな日差し。私は宮本百合子の「道標」を読む。労働者の国家。女性も差別されず働く場所が確保されている、格差のない社会、実際のソヴィエトはそんなものではなかったが、百合子のいうような理想国家が実現することはあるのだろうか。それにしても簡単に首を切られ、自分を責めてしまううつむきがちの社会、官僚だけが天下りをし、破綻したはずの自治体でも公務員は膨大な退職金をもらう社会を変えなくてはいけないということが徐々にコンセンサスになっている。それにしてもゴーンが日産の社員をリストラしたときはお手柄みたいに持ち上げていたのに、なんて論調の変化。ジャーナリズムは油断がならない。新聞記者もさんざん高給をもらっていたのに、定年後、大学教授になりたいような人が多くて強欲としかいえない。こういう人たちに天下り批判はできないんじゃないの。そろそろ高給の仕事は人に譲って、同じ能力を活かすんでもNPOとかヴォランティアをしようとは考えないのだろうか。

1月3日(土曜日)
派遣村も500人を超えたらしい。
ヒロシ家が汚いとはじから捨てようとする。年末に何日もかけて掃除した努力はちっとも報われず落涙。確かに家にあるものは貰い物ばかりで買ったものは少ない。
本を送ったお礼にと義理のお父さんから電話。離婚はしたけれど、お父さんはお父さん。「長年北海道で木材業をしてきたが、それはずっと自然破壊という罪深いことをしてきたということだ」という。もうずいぶん前から180度転換して、苗畑で苗を育て緑化のしごとに変えた。「もうずっと北海道では木を切れないから、さぞ自然は喜んでるだろうさ」。「地球上に人間が増えすぎた。日本でも3000万人くらいが限度だと思う。かといって自分の命はなかなか断てないものだけど」。島根の佐藤忠吉さんも同じようなことをいう。「人間が生産力を超えて増えたら餓死するか、戦争するしかないでしょう。誤解を受ける言い方かもしれんが」
食べ物のことを考えないで、延命治療や移民受け入れを推進する政府は頭がおかしい。だいたい、派遣をさんざ切っておいて700万受け入れないと日本の産業は成り立たないとはどういうことか。移民もまた簡単にクビ切られてしまうぞ、来ない方がいいぞ。留学生も33万人増やすというけれど、今いる学生も十全に教育できないのに、まだ水増しするのか。

森まゆみ

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