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くまのかたこと

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12月29日、12月29日、12月30日、12月31日

12月28日(日曜日)
一年に二度目の映画館。新宿のピカデリーで「レッドクリフ」を見ようと思ったが時間の都合上「崖の上のポニョ」に。映画も楽しかったが、近頃の映画館のきれいさにびっくり。そこから「ドキュメンタリー酒場」の忘年会に。あいかわらず吉田司さんや吉岡忍さんは話し出すと止まらない。
これ悪口じゃない。
昔鍛えた人たちの弁の立つのにびっくりしてるだけ。それに人前で話すのが好きなのも世代の差かなあ。吉田さんはもと小川紳介プロの助監督だったそうで、ドキュメンタリーには一家言あるらしい。でも一回目の阿武野さんが来てくれた時の吉田さんの尻馬に乗った会場からの一般参加者の作品批判のしかたは後味が悪かったのである。とにかく登壇者が多すぎないか、というのは一致した意見。
東京新聞の大波小波が「地方の時代映像祭」が今年のグランプリにした「夫はなぜ死んだのか−−−過労死認定の厚い壁」について、ドキュメンタリーとしては一般的な水準の作品だが、これをグランプリにしたのは見識だと書いてくれた。だってトヨタは放送局に取っては最大のスポンサー、その労働者の過労死認定を一人、妻が勝ち取るはなしだからね。よくも作ったり、大阪毎日放送。去年のグランプリのようにNHK全国放送で放映してほしいとわたしはNHKの番組審議会で言っているのだが、経営委員会にトヨタ関係者がいるうちはむりかもしれない。
トヨタ自動車の相談役、奥田碩氏は政府の「有識者会議」で、マスコミの厚労省批判に対して、スポンサーを降りるとか、報復を考えようかな、なんて言ってるらしいから、おかどちがいもいいとこだ。

12月29日(月曜日)
家中の段ボールを全部出す。山のように。
管理人さんが親切で几帳面な人になり、年末もゴミ置き場は至極清潔である。
与謝野晶子の「明るみへ」を読んでいる。ひどくまずい小説。仮名で北原白秋や堀口大学や50人くらいの人が出てきて分けわからず。
湯浅誠「反貧困」を遅まきながら読む。彼の主張はさまざまなところで読んでいるけど。
職の不安や貧困は、苦しむ当事者の問題にかぎらない。
生活保護の受給対象となる世帯は全国に1000万くらいいるという。
精神科にかかっている人は92万人だそうだ。
高齢者、子供、障害を持つ人々、心を病む人々を足すとどのくらいの数になるのだろう。それをどのくらいの人数で支えていかなければいけないのだろう。大変な日本である。
ともかく給付だけでなく、そこからの脱出を支援しなければならないし、障害を持つ人々の社会参加もすすめなくてはならない。

12月30日(火曜日)
粗大ゴミにシールを貼ってだす。12時に彦根からユタカが帰ってきたのでご飯を作る。ヴォーリズのウォーターマン邸の工事がおわって、今は神社をやっているそうな。掃除と買い物を手伝ってくれる。久しぶりに伊勢丹フーズにいったら一万円異様も買い物をしてしまった。生協の3倍かかる。この人は何を提案しても「お、いいねえ」と相づちをうってくれるので、楽。夜は恒例、幡ヶ谷のチャイナでの忘年会。7人で10種類くらいの野菜料理を食べる。石橋さんのえがおを見ないと年が越せない。

12月31日(水曜日)
午前中、ピアノの調律、6年ぶりくらい。サンドさんの家で年越しをし、鐘付きにいく約束をしていたが、掃除のし過ぎにより股関節が痛い。電話で断るつもりが無理しないで、でもできたら来て、との誘いに、自転車を片足漕ぎでいく。アメリカの人が日本で日本家屋で年をこし、鐘付きにいくなんてどんな雰囲気なのだろう。今年は近くの西教寺に行って、それから根津神社によったが、長蛇の列でとても参拝どころではない。帰って、エドワード・ファウラーさんの『山谷ブルース』を読み返す。夜があける。

森まゆみ

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