!新谷根千ねっとはコチラ!

くまのかたこと - 旅の宿編

<-前へ  次へ->   一覧に戻る
 
栃木 北温泉旅館(1981)

私が秘湯に目覚めた最初のきっかけが高校の時の奥鬼怒加仁湯なら、第二のきっかけは子どもが生まれて最初に行った那須の北温泉である。お金と暇のない私はその頃大石真人「全国温泉がイド」(山渓出版)を愛読しては旅に思いをはせていた。この本は最近見かけないが、本当に温泉と山が好きな著者による、体験に裏打ちされた、はっきり物を言う名著である。

那須の駅からバスに乗ること30分。そこから10分ほど歩くと、ぽっかりと羽を広げたような黒い建物が見える。食事はそうよくないし、隙間風が冷たいが、とにかく七つだったかもある薄暗い混浴の風呂がすばらしく、無色透明の湯で、身延山のお坊さんの人生を聞いたり、イレズミの男に温泉卵をもらったりした。これまた関東にあるとは信じられない宿である。

旅館の前に温泉プールがあり、葉っぱと一緒にプカプカやるのも楽しい。

森まゆみ
2003年9月6日(土曜日)公開

関連リンク http://www9.ocn.ne.jp/~kitanoyu/

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下でライセンスされています。
ページトップへ