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くまのかたこと - 旅の宿編

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五厘沢慶喜温泉 (1982)

岩見沢の義父母の家から車を借りて函館まで2泊3日の旅に出た。宿は決めていない。もうこれ以上走れないよ、というとき、温泉宿があって泊めてもらうことになった。夜の9時過ぎで、食事は出せないといわれ、町の寿司屋で食べた。概して宿泊施設のレベルが高くない北海道ではきちんと整った宿であった。

徳川慶喜と関係があるというのだが、いわれは定かではない。とにかく風呂が良かった。青みがかった滑らない石の風呂で、じつにいい匂いがした。入り口にあった松の木、とそれくらいしか覚えていないが、とにかく静かでいい匂いの宿だということだけ、鮮明に覚えている。

森まゆみ
2003年5月12日(月曜日)公開

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