いま、朝日、読売、日経の三紙が協力しているサイト、アラタニスに三週間に一回、コラムを書いている。いよいよインターネットの時代を見越しての戦略なのか。今回は東京の都市景観に付いて書いた。本当はノーベル賞の報道の仕方に付いて書きたかったのだが。どうおもいます？とにかく快挙、喜び三重奏。取ったというお祭り騒ぎなだけで、日本の新聞にまともに説明できる科学ジャーナリストがいないことがわかった。名乗って書いている人はいたが、よくわからず。益川さんが「昔の研究だし、どうせお祭り騒ぎの渦中に巻き込まれるだけなのであんまりうれしくない」といった言葉尻をとらえ、「うれしくない」を強調し、次の日は「うれしくない、一転」と南部さんと同時受賞で感涙にむせぶ益川さんの大きな写真を載せたり。さぞやこの瞬間一斉にフラッシュが焚かれたのであろうよと素直でない読者としては鼻白む。それからは妻の内助の功ばっかり。ほんとにばかばかしいかぎり。結局カミオカンデとか対称性の破れとかオワンクラゲくらいしかあたまにのこらない報道の仕方はそのまま。たしかに南部さんは日本人でなくアメリカ人だしね。

森まゆみ