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くまのかたこと - 旅の宿編

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奈良ホテル

3回泊まった。さいしょのころはフロントの応対もよくさすがナショナルフラッグと思ったが行くたびにがさつな宿になっている。
タクシーの運転手がいうにはオフに安く泊め始めて客層が悪くなった、というのだが本当かな。
ツインのシングルユースで2万3千円、べっどはシングルだし寝るだけならセミダブルのワシントンホテルの方が寝やすいし、場所も便利。
それなのに、奈良ホテルというのは、階段の踊り場や、食堂の空間を愛するからだが。そして堀辰雄、大和路信濃路や、濱田青陵の面影を追っているのかもしれないけれど。奈良ホテルで自転車を借りると、なまえの焼き板のついたのを貸してくれた。それで奈良をぶらぶらするのは楽しい。
奈良町の蔵って居酒屋は大好きだが、なかなか入れない、奈良町ぶらり歩きの宇多さんに教えてもらった。宇多さんは黄色い潜水艦という同人誌に小説を書いている人。あるひ谷根千にやってきて、仰木が雑誌の話をしたら、ほどなくA5の地域雑誌が送られてきた。
いつか大阪人の北辻さんや宇多さんや写真家の太田さんと奈良町で銭湯にはいって、菖蒲湯にいい気になって、湯上がりに牛乳を飲んでたら、森さん、そっちでひとりじゃかわいそう、こっちにおいでよ、男湯ほかにいないから、というので、わたしははじめて男湯で牛乳を飲んだのだった。なつかしいなあ。

森まゆみ
2007年3月5日(月曜日)公開

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