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くまのかたこと - 旅の宿編

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白布温泉 東屋旅館(1985)

秋の終わりに宮城から福島まで車で走って、夜は喜多方の評判の良い笹屋旅館、夢二の泊まった蔵造りの宿というのに予約してあった。ところが、会津の山道で迷い、喜多方へ抜ける道が、すでに時間で閉鎖されていた。米沢で木綿を買ったり、米沢牛ステーキの遅い昼食でのんびりしたのがいけなかった。

笹屋さんに電話でお詫びをし、もう日が暮れていたので、いちばん近い白布温泉へ向かい、三つ並んだ宿のどれにしようか悩み、東屋旅館のたたずまいにひかれた。宿の人は親切で、布団の裾に入れる炭火のあんかを持ってきてくれた。茅葺きで廊下は黒光りしてタイムスリップした感じだった。子どもを寝かせ、つまみを頼むと鯉こくや鯉のあらいが抜群にうまかった。今度はここで夕食をちゃんと食べてみたい。

森まゆみ
2003年10月23日(木曜日)公開

関連リンク http://www.vivi.ne.jp/shirabu_kanko/

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