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東京霊感紀行
東京霊感紀行
東京霊感紀行
著者 大島憲治 写真 酒井敦
竜鱗堂 本体2,000円 A5判よりすこーし大きい 92P
2003.5.17発行 限定300部
*千駄木往来堂書店で買えます

夏には日陰を
冬には日だまりを求めて
神が棲まう庭を訪ねる
われらの神々は影そして光り
古木と茂る葉を震わせる
一陣の風、閃光する稲妻
驟雨がその姿

「神の杜」の第一節

この本は詩、エッセイ、写真を組み合せた12の物語からなる。詩人の大島さんは仙台生まれで今は文京区根津の住人。東京に「生」より「死」を多くみるのだろうか。見えたり触れたりすることより何倍も、見えないけれど感じるものに親近感を持つのだろうか。

「神の社」は日暮里・谷中の総鎮守、諏方神社だ。
一昨年諏方神社ではふって湧いたような事業計画があり、氏子の知らない間に20億円を投資する墓地造成計画ができていた。あわただしく氏子会議が開かれ、計画は白紙に戻されたが、計画の裏には土地に暗躍する悪霊の姿があったにちがいない。

破却と収奪の都市、東京といえども
この神の棲家を絶やすことは出来ない

詩人は悪霊の姿を知っているのか

12の物語は
ひぐらしの鎮守諏方神社/西日暮里諏訪台通り/上野不忍池水景/浅草水上バス発着所前/隅田川流域懐古/大川端明石町陸景/都庁三十二階眼下眺望/新宿交差点灯影/後楽園ゆうえんち夜景/滝野川一丁目都電沿線/日比谷通り明治生命本館前景/神田聖橋眺望
からなる。

“すわ”の字が「諏方」「諏訪」と惑うのも地霊の為せる力なのだよ。
2003年12月10日(水曜日)公開
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