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樋口一葉歌集抄
2001年2月18日(日曜日)発行

樋口一葉歌集抄 <谷根千・文人シリーズ1 - 知られざる一葉>
発行:谷根千工房 2001年2月10日発行 500円(本体)
売り切れ

はじめに
明治の天才、樋口一葉逝いて百余年。
その文業はいまなお偉大だが、すでに文語文最後の華とされる小説を読む人も少なくなった。 それ以上に知られていないのは一葉の和歌である。

十代半ばに小石川安藤坂の中島歌子の主催する萩の舎に入った一葉は、はじめ同じく歌塾を開くことを考えていた。 明治の女性にとっては小説を書くより、歌の道に生きる方がはるかに現実的であった。
しかしその歌は高く評価されているとはいいがたい。
いわゆる旧派の題詠みにのみとどまり、自然な心の流露を妨げていると表されるが、なかには心打つ恋の歌も多い。 生活を自嘲したユーモラスな歌もある。
ことに半井桃水と出会い、本当の恋を知ってからの一葉の歌には絶唱といってよいものすらある。

一葉の生きた本郷界隈から、明治の面影が消え去ろうとするいま、三十二首を選んで今を生きる人に贈る。 がさつな現代の、少しばかりの潤いとなることを願って。
(森まゆみ)

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