蔵の試写会をお休みします(再開時期未定)
2026年02月14日(土)
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2026年が明けました。本年もよろしくお願いいたします。
2月14日(土)に予定していました「蔵の試写会―1970年以降の文京区所蔵フィルムを全部みる計画その98回目」は中止します。
また、現在の主催者であるコガタ社の諸事情からしばらく試写会をお休みします。
谷根千<記憶の蔵>での不定期の試写会、Ⅾ坂シネマなどは継続の予定です。そのつどお知らせいたします。
この試写会の成り立ちを少し振り返ります。
各地域自治体の所蔵フィルムの廃棄を知った時に、8㎜、16㎜などの小型フィルムを文化財として残したいという気持ちが芽生えました。「価値の定まらない古いものをすぐ捨てる」という行為は自治体に多く、そのささやかな抵抗が、
①フィルムを借り出して【貸出し記録が残るように】
②チェックし【フィルムの状態を知り今後の保存の役に立つように】
③上映する【試写と言えども内容を他者と共有したい】
ことでした。
こんな試みを文京区で始めたのが映画保存協会(FPS)です。
http://filmpres.org/project/bfa/bunkyo/
谷根千工房が作業を引き継いだ後は、この試写会で見た作品の選りすぐりをこれまでやっていた自主上映会「Ⅾ坂シネマ」のプログラムにも入れるようになりました。
谷根千工房のスタッフでの継続が難しくなった後はコガタ社が引き継いでいました。
2026年1月より
コガタ社がしばらくお休みとなるため、蔵の試写会もお休みします。下記はコガタ社に主催が移ってからの上映記録です。
https://kuranoshisha.hatenablog.com/
保育園や学童保育所、公園や神社境内での野外映画、そして「Ⅾ坂シネマ」。さまざまな場所で映写機を回しました。そうした活動は今も誰かが続けています。
谷根千工房での上映活動については『ベスト・オブ・谷根千』(亜紀書房)のコラムで少しだけ触れました。こちらでも再録してくださっています。
https://note.com/kusanoha1942/n/nf42a60366d5e
文京区所蔵フィルムのほとんどは文化映画・教育映画。スクリーンには撮影された1950~70年代の風景とともに、撮影に協力した人々に驚くことがあります。
この蔵の試写会の思い出深い出来事の一つにこんなことがありました。
あるとき、上映プログラムの記事を見た方からの連絡がありました。
父上の古希のお祝いをしたいので、そちらで上映した『母と子の二十分間読書』を映写してもらえないか、というのです。
この映画は、童話作家の椋鳩十が鹿児島知覧の図書館長であった時に提唱した読書運動を実写仕立てにして撮影したもの。1965年の作品です。登場人物のほとんど現地の方だったのでしょう。
電話の主の父上はこのころ知覧に住み、作品に登場していた少年でした。少年は一日に10分間だけ母親に本を読むのを聞いてもらう、という学校の宿題に苦労します。農家で寝る時間もないほど忙しい母には、子どもの宿題に付き合う10分がなかなか取れないのです。そこで、母親が風呂に入っているときに、外で薪をくべながら本を読み、窓越しに母に聞いてもらうことにしました。見ていても感動的な場面です。
父上からは子どものころの思い出として映画撮影の話は聞いていたそうですが、出来上がった作品を見たことがないということでした。
ずっと忘れていたことを谷根千工房のアップした記事を読んで、この作品がそれに違いない。その涙ぐましい少年はきっと父に違いない、と思ったといいます。
しかし、16㎜フィルムを借りる手立ても上映する手立てもないので、やってはもらえないかと連絡したというものでした。
調べると依頼者の住む自治体にはフィルムライブラリーはなく、自治体のフィルムライブラリーの作品はその自治体以外での上映を禁じている。そこで、そのご家族に文京区まで来てもらい、谷根千<記憶の蔵>で上映しました。
父上の古希のお祝い上映会に、それぞれがすでにご家族を持つお子さんたちが蔵に集まり、スクリーンの中のお父さん(少年)の姿を見つめていた姿が忘れられません。
『母と子の二十分読書』は何度も上映した作品です。
http://www.yanesen.net/topics/detail.html?id=493
試写会を始めた当初、文京区はおよそ1,500本の16㎜フィルムを所蔵していましたが、FPSの調査によると現在は935本(
http://filmpres.org/wp2/wp-content/uploads/2025/09/16mmlibrary24.pdf)。公費購入のフィルムの廃棄は議会を経ることもなく、突然です。今年も地域のフィルムライブラリーを見守りたいと思います。
ではまた、〝全部見る計画〟の再開時にお会いしましょう。 2026.1.7 山﨑範子
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蔵の試写会
コガタ社(中川)+谷根千工房(やまさき+仰木)+木村美恵子
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