住みやすい町をこわしつつあるNTT

NTTというのはご存知、もとは電電公社という国の機関であった。それが民営化されて株が売り出され、その値が急上昇したのを覚えている人も多いだろう。

電信電話を司る情報産業であり、インターネットや携帯電話事業など時代の波にもよく乗っている。しかし国鉄もそうだが、多角化で本来の業務と関係のないことへ事業も広げている。

団子坂上、千駄木五丁目の旧駒込電話局（女性解放の青鞜社発祥の地）の跡地では、周辺住民が反対するなかNTT都市開発がマンション建設を進めている。国民の財産であった旧国有地をマンションにして売り飛ばすなんて、あっていいんだろうか。

車の出入り、日照、室外機など、周辺住民の生活を破壊しながら「下町情緒のこる谷根千」をマンション販売のうたい文句にしているなんて、私としてはゆるせない。

いっぽう千駄木三丁目の不忍通りのNTTビル（旧駒込電話局別館）の敷地には、NTT東日本が地上８階地下２階で50メートル近いNTTサーバービルの建設を発表し、周辺住民を驚かせた。

日照、風害、室外機のほか、サーバービルならではの電磁波、低周波の問題など、地元が納得する説明がなされないまま、一部10メートル下げる（はじめから予想済みか）というだけで工事が始まろうとしていた。その２月２日、工事着工まえの抗議行動を取材した。（森まゆみ）