谷根千関連出版

谷中五重塔 1644-1988

谷中五重塔 1644-1988

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"東京の地方"叢書2―谷中五重塔事典
著者: 編集/江戸のある町・上野谷根千研究会
発売日: 2007年7月6日(金)
価格: 525円 在庫なし

かつて、谷中に五重塔がありました。

塔の近くには幸田露伴、北原白秋、田村俊子、朝倉文夫なども住み、日夜、塔を仰ぎみて暮す中から生まれた一つが、傑作「五重塔」(幸田露伴)― のっそり十兵衛の物語 ―です。

塔は「谷中自慢」の最たるものでした。団子坂上の住人は「うちの町は谷中と上野と二つも塔が見えるのが自慢」だったそうです。永井荷風も「日和下駄」の中で、鴎外の観潮楼から谷中五重塔を眺めたことを記しています。

ところが三十二年七月六日早朝、放火心中でこの塔があっという間に炎上、焼失してしまいました。

不倫の恋の清算に、五重塔を用いるとは何と心ない事だ、と町の人々は怒りました。

いまは児童公園の片隅に礎石のみが残り、その上に桜が枝を伸ばし、ときおり。散歩者が史跡版を読んでいるだけです。

(「はじめに」より)

目次

  • はじめに
  • 天王寺と五重塔/浦井正明
  • 谷中五重塔プロフィール
  • 谷中五重塔年表/森田徹也
  • 遠い記憶の風景/藤島亥治郎
  • 塔のかたち/山田博子+手嶋尚人+児島理志
  • 幻の五重塔を探して/三つの模型と二つの手紙/山田博子
  • 露伴が谷中にいたころ/森まゆみ
  • 礎石のばなし/大友喜代治
  • わたしの谷中五重塔/インタビュー&アンケート
  • 谷中アクロポリス構想/前野まさる
  • 原風景再興/中村精二
  • おわりに

 

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