144頁 巻頭・巻末カラー(16頁) | |
著者: | 編集/上野の杜事典編集会議 企画/しのばず自然観察会 |
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出版社: | 谷根千工房 |
ISBN: | 4-9902965-0-8 |
発売日: | 2006年3月20日(月) |
価格: | 1260円 在庫あり |
巻末に伊藤晴雨作「懐古と伝説の上野附近十二題」収録
(この作品は初公開で、原画は焼失し、現存していません)
◎しのばず自然観察会が活動を始めてから一九九五年で満二十年 これを記念して、上野のガイドブックを「上野の杜事典」を出版しようと編集を初めて三年になります。 上野公園のガイドブックはすでにいくつか出ていて、それぞれよくまとまっていると思います。 そんななかであえて私たちが本を出すのは、上野の杜とともに育ったり上野に深い思いをいだく人たちの立場から、 上野の意味をとらえなおしたいと思ったからです。
◎地域からの発信を届けたい 私たちはアメニティ(快適性)という概念を、 あるべきものがあるべきところにあって安心できる状態だと考えています。 上野公園でも、自然性や歴史性が受け継がれてはじめて、 上野の杜は心休まるところとなります。 この本の編集をはじめてからの短い期間にも、 自然や空間、文化遺産が失われることが相次ぎ、 私たちの作業は上野の杜の過去帖づくりかと自問する日が続きました。 地域からの発信として、 私たちの上野の杜像を一日も早く、より多くの方々と共有したいと、 この冊子を世の中に送り出そうと思います。
一九九五年九月 上野の杜事典編集会議
◎上野の杜の残すべき記録を後世へ 「上野の杜事典」品切れを機に改訂作業を始めて五年以上が過ぎ、 しのばず自然観察会も三十周年を迎えました。 この本をここで刊行しなければ 永久に改訂版を出版することはかなわないと、 決意を新たに作業を進めたのは、初版作成にかかわった会員や取材に応じてくださった方々のうち少なくない人たちが、 この十年間に世を去ったからです。 一方で新たな会員が増加し、 上野の杜の情報共有化の手段である事典の意味を再確認することになりました。 この十年間の公園の変化と残すべき記録を含めて、 私たちの上野公園の情報を、 もう一度地域から発信したいと思います。
二〇〇六年三月 上野の杜事典編集会議
花見/江戸の花見/春牡丹/春の花めぐり/蓮見/納涼大会/月見/紅葉狩り/木の実拾い/水鳥ウォッチング/雪見/冬牡丹
近代文化の発信地/イベント空間としての上野/大震災時の上野公園/戦時下の上野公園
忍が岡の古社/天神さまと瀬川宮司家/山を下りて五條町ができた/開発に翻弄されて/穴の稲荷/御利益
上野むかしむかし/自然植生のなごり/東博の庭に残る江戸/樹木の種類/江戸時代の自然-文献より/上野の虫や小動物-文献、記憶から/植生による気温緩和作用/千川上水/清水、湧水/井戸/不忍池/不忍池の生物たち/藍染川水系と不忍池/都市化による荒廃/生きている水
上野山/サーカスの帰り道/消えた町の風景/上野広小路/都美術館の広い階段/二月二十六日の大雪/梨売り一個五銭/上野の煙/根岸小学校の仮校舎/上野の仮校舎/谷中小学校上野校舎のこと
終戦直後の上野公園/寺社地の返還/戦災難民のキャンプ/青空楽団、街頭テレビ/民間による復興/昭和三十年代、建築ブーム/水飢饉/京成電車上野駅構内改修工事/戦災孤児/オッパイ味のする椎の実/西郷ドン/世界の財産/修学旅行の思い出/不忍池のボート