“東京の地方”叢書(3) | |
出版社: | 谷根千工房 |
---|---|
発売日: | 1989年2月15日(水) |
価格: | 630円 絶版 |
上野・谷中・根津・千駄木.....東京の最北の丘から谷へつながるこの地域は、安政の大地震、大正の震災、昭和の戦災で消失からからくも逃れ、東京のほかの町がすでに失ってしまった古い建築物・路地・樹木、そして生活様式や人情をいまに伝えています。
この歴史ある町の何に親しみ、何を守り、どんな町を作っていくか....、東京改造や地価高騰の波が押し寄せ、次々と建て替えや環境変化が起こるいまこそ、それを考えようと、一九八六年から地元住民と地元大学がよりあるまり、「江戸のある町、上野・谷根千研究会」を作りました。
活動の中で、この地域の「親しまれる環境」を調査しますと、路地・銭湯・せんべい屋・植木鉢といったミクロでより身近な環境と同時に、マクロな、広い地域にわたるシンボル的な存在として、上野公園や不忍池、いまはない谷中五重塔なども住民に強く"親しまれている"ことがわかりました。そこで「谷中五重塔事典」につづき、現在、地下駐車場と自然環境が問われている「しのばずの池事典」を発行いたします。
本書は、不忍池がどのように地域の、また江戸・東京の住民に親しまれているかを歴史的に段階を追って考察し、現在の不忍池の自然環境をわかりやすく解説したものです。都心のかけがえのない自然であり、歴史であり、アメニティ空間(快適で、やすらぎや憩いを感じる場所)である不忍池を再認識、再活用していただくための実用書として、どうぞお子さんとの散歩の際にもお役立てくだされば幸いです。