森まゆみの本

路地の匂い 町の音

路地の匂い 町の音

※クリックで拡大

出版社: 旬報社
ISBN: 4-8451-0558-6
発売日: 1998年9月25日(金)
著者: 森まゆみ
価格: 1800円
Amazon.co.jpで買う

森まゆみの町遊び十五年分
五感で町を旅しよう。
すると匂いの風景が見え、町のささやきが聞こえてくる。

街という字より町という方が好きだ。
街は中国の北京や奈良、京都のように権力者がつくった整然とした街区を思う。あるいはデベロッパーがつくった画一的なニュータウンを連想する。町のほうは田んぼにいつしか家がたち、人が住みついて町になった、という自然発生的な感じがある

このところ<まちづくり>にも街の字がよく使われるが、本書では、町で通したい。私は江戸の素町人の末裔で、町っ子である。とはいえ、私も十数年前まで、自分の住む町のことなど、これっぽっちも考えたことがなかった。

目次

1. 町を呼吸する

東京の音散歩 / 江戸の時を刻む町 / 着物の似合う町 / 大晦日鐘撞きツアー / 初春は谷中七福神参り / 東京の老舗は軽くていい / 東京のモンマルトル / 墓地は墓地のままがいい / 町名改「正」の結果 / 配達は社会勉強 / 昭和二十六年屋号譚

2. 町の達人たち

小鳥のおばさん / 全身を顔にしよう。町のおじさん及川裸観 / 秋草のような男 岡本文弥 / 老人の住みやすい町 / 谷中職人列伝 / 瀬戸ぎわの日本 / 小林顕一さんのこと

3. 町に深く潜入する

町の見方調べ方のイロハ / 町をつかって遊ぼう / タテ場とヒラ場の権力 / 井戸は東京の生命線 / 学童疎開の聞き取りをして / デパート嫌い商店街好き / 子どものいる場所

4. ちょっとした疑問

町並み保存てなに / 散歩できない"歴史と文化の散歩道" / 原風景を壊さないマンション / 人の写っていない建築写真の不思議/シンポジウムはもうやめよう / コンサルタントには成り上がるな / アンケートのアルバイト / いい店は自分で探して黙っていよう

5. いろんな町にいってみる

きれいはきたない、きたないはきれい / 一寺言問には路地尊がある / 汐入から上野行 / 横浜の歌 / 由木ファーマーズをたずねて / 新宿から一時間半の林業 / 本と森の交換

6. 後ろ向きに前進する

都電を再び走らそう / パブリック・アートとは何か / 東京から子どもがいなくなる / 女、子ども抜きでなにが町づくり / なぜ「谷根千」は震災で焼けなかったか / 天守閣の思想 / 東京は骨粗鬆症

7. 本で町を読む

芋じん 市電 芙蓉館 / 谷中の旅館、大奮闘 / 情景活写した14篇 / つつましく丁寧な聞き書き / 健康にいい家をつくるには / あつまって暮らす十二の例 / 日本という国・根の枯渇 / 静かに居る権利 / 仕立てのいい暮らしへ

8. 町はモザイク

門並み はす前 新開地 / 現ナマという感覚 / 絵入り企業の社員総会 / 上野動物園のベンチ / 公園・母親の孤独 / 花見のあと/おじいさんの店でのんびり / 口のカタイ石屋さん / 不良少女の更生場 / "ぶどうのいえ"の話 / 縁側へのあこがれ / 夜の配達/今日も天丼が食べられる / 質屋のルビー

あとがき

 

>> 一覧ページへ戻る