森まゆみの本

不思議の町根津 - ひっそりした都市空間

不思議の町根津 - ひっそりした都市空間

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出版社: ちくま文庫(筑摩書房
ISBN: 4480032673
発売日: 1997年5月18日(日)
著者: 森まゆみ
価格: 720円
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「谷中スケッチブック」が世代交代や老朽化で壊されていく谷中という町を散歩しながら記した本であるならば、根津はも少し郷土史家としての欲も出て、史料を探査し生まじめに書いた本である。
地域雑誌「谷中・根津・千駄木」の初発の情熱も手伝って、何を読んでも誰に話を聞いても面白く、そのすべてをなるべく微に入り細に入り書いておくことが、紙碑としては大切なのだ、と思った。
読み直して、登場する町の人に「二男二女がいる」ことまで書いた私自身のことがおかしかった。一般読者にはどうでもいいことかもしれない。でもそれを消したら「普通の人の生き死にを記録する」という思いも消えてしまう。
三年かかって原稿ができたが、ゲラのままさらに三年たち当初の計画とは違う出版社から本になった。幸い読者を得、三ヶ月後に再版したが、その後ずっと品切れの状態が続いていた。今回、徹底改稿し、図版、写真も新たにした形でちくま文庫に入り、ほっとしている。
五年の歳月は不忍通りを高層ビルに変えたが、一本裏道を歩けば、やはり根津には根津の風が吹いている。この町を知る手がかりに本書が役立てばうれしい。

<文庫版あとがきより>

目次

  • まえがき
  • 1.藍染川が流れていた
  • 2.根津権現社の成立
  • 3.根津遊郭秘話
  • 4.団子坂菊人形
  • 5.藍染大通りの人々
  • 6.谷底の文化人たち
  • 7.根津の暮らし-明治、大正
  • 8.根津万華鏡
  • あとがき

文庫版あとがき
主要参考文献
解説 隠れん坊、できるかな 松山巌
索引

 

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