地域雑誌 「谷中・根津・千駄木」 41号

夏目漱石の千駄木 - 詳註「吾輩ハ猫デアル」

1994年12月25日(日曜日)発行  420円  在庫切れ

41号 夏目漱石の千駄木 - 詳註「吾輩ハ猫デアル」

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特集 夏目漱石の千駄木 - 詳註 「吾輩ハ猫デアル」

明治三十六年三月三日火曜日、雛祭の日、留学先のロンドンから帰った漱石夏目金之助は本郷区駒込千駄木町五十七番地(いまの文京区向丘二丁目二十番七号)に引越した。家賃二十五円。妻鏡子は病の床にあり、漱石は友人菅虎雄と二人で家財道具を買い整えた。
家主は友人で歴史学者の斎藤阿具(さいとうあぐ)で、彼が仙台二高へ転任して空き家になるので借りたものである。職場の一高と東大までは一本道で近かった。しかしこの家を漱石は気に入らず、しばしば住宅の図案を考え、小石川まで別の借家を見に行ったりした。
「美しい少女の死ぬ程詩的に悲しいことはない。死んでいヽ奴は千駄木にゴロヾして居るのに思う様にならんな」(野間真綱宛・三十八年十二月六日)
「小生千駄木にあって文を草す。左右前後に居るもうろくども一切気に喰はず朝から晩まで喧嘩なり此中に在って名文がかけぬ位なら文章はやめて仕舞う考なり」(森田草平宛・三十九年八月六日)
そんな千駄木の家に三十七年夏、黒い猫が迷い込み、暮から漱石はこの猫から見た人間世界を書き出した。−「我輩ハ猫デアル」。これが英語教師漱石を国民的作家にする。

※本文中の「吾輩は猫である」は新潮社文庫より引用しました。

其の41 夏目漱石特集(48p) 1994/冬

表紙/橋口五葉装幀の「吾輩ハ猫デアル」初版本より
夏目漱石「吾輩ハ猫デアル」より+解説
谷中二丁目−絵/酒井不二雄
ふり向けば根津−写真/馬渕広子
エッセイ−谷中の雪−野沢延行
夏目漱石の千駄木−詳註「吾輩ハ猫デアル」
 作品「吾輩ハ猫デアル」
 夏目漱石プロフィール
 妻の証言
 郁分館訪問記
漱石の散歩−奥本大三郎さんと千駄木を歩く
谷根千ちず
地蔵になった男−宮沢芳重−根津に住んだ哲学者
岡場所雑記(下)−明治の根津遊廓−村山文彦
町の話題−まちにとびだす芸工展
確連房通信
谷根千オンブズマン−ペットだからペットボトル??
おたより
千駄木・平岡パン−剪画・文/石田良介
編集後記
お知らせ

参考文献
「夏目漱石全集 1」 夏目漱石 筑摩書房(ちくま文庫)ISBN:4480021612
「吾輩は猫である」 夏目漱石 新潮社(新潮文庫)1961
「漱石全集」 夏目漱石 二十七巻〜三十一巻(書簡集)岩波書店 1957
「漱石研究年表」(増補改訂) 荒正人編 集英社 1984.6 ISBN:4087724867
「漱石の思ひ出」 夏目鏡子談・松岡譲筆録 角川書店(角川文庫)1966
「夏目漱石青春の旅」 半藤一利 文芸春秋(文春文庫)1994.8 ISBN:416810009X
「百年の歩み 創立100周年記念写真集」郁文館学園100年史編集委員会編 郁文館学園 1988.11
「本郷の寺院 街と寺誌」 本郷仏教会 1984.10
※本文中の「吾輩は猫である」は新潮社文庫より引用しました。

 

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