地域雑誌 「谷中・根津・千駄木」 84号

特集/上州と谷根千 ──講談社、絹の道、自由の風

2006年7月20日(木曜日)発行  525円  残部僅少 -> 購入方法

84号 特集/上州と谷根千 ──講談社、絹の道、自由の風

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 上州とは上野国の異称、現在の群馬県とほぼ重なる。
 江戸五街道のひとつ中山道は、江戸日本橋から京三條大橋をむすぶ六十九宿、一三〇五里三四町八間(約五三四キロメートル)の道。戦国時代までは東山道と呼ばれる機内から近江、美濃、信濃、上野、下野、陸奥、分岐して飛騨、出羽、武蔵をつなぐ古代七道のうちの一つだった。
 上州の宿場は新町、倉賀野、高崎、板鼻、安中、松井田、坂本の七宿。街道沿いには出桁造りの養蚕農家が並んだという。

 一八八三年(明治十六)七月二十八日、東京の北の玄関上野駅が仮営業を始め、熊谷まではじめて列車が走った。上野駅の正式開業は翌一八八四年六月二十五日。上野─高崎間二十八里を四時間で走る「夢の超スピード」のはじまりだった。

「上州はかかあ天下とからっ風」というように、やや荒っぽいイメージを持たれている。幕末には「赤城の山も今宵かぎり」といった国定忠治のような渡世人も出た。
「上州は錆た刃で畳を切るやうな味がある」と草野心平はいったらしい。上州は萩原朔太郎と萩原恭次郎、大手拓次、伊藤信吉を生み、室生犀星、草野心平、高村光太郎を迎えた「詩のみやこ」でもあった。

 二〇〇六年春、縁あって「シルクカントリー群馬委員会」の委員を仰せつかる。シルク関係の跡を訪ねると、いたるところで谷根千とのつながりを見い出した。これまでに町を歩いて聞き取ったいくつかのことが、上州をキーワードに符合する。
 街道と鉄路でつながる「上州と谷根千」の特集を編んでみた。
目次─地域雑誌「谷中・根津・千駄木」其の八十四 二〇〇六・夏

◎特集/上州と谷根千
●その一、講談社 
 桐生出身野間清治の団子坂─ 講談社訪問記 6
 「キング」七十五万部はあちこち手分けして─池田長治さんに聞く 11
 講談社の団子坂時代─井田源三郎さんに聞く 14
●その二、絹の道 
 富岡製糸場場長と彰義隊の関係 18  
 甘楽の天野八郎 22
 吉野藤と吉野秀雄そして山脇道子の不思議な関係 24
 吉野秀雄のことなど─山脇美智子さんに聞く 27
●その三、自由の風 
 安中教会とステンドグラス 28
 同志社創立者新島襄 31 
 日向輝武と林きむ子 34
 三遊亭圓朝と群馬 35

◎巻頭コラム
町の点字物語を「夕やけだんだん」に──坂部明浩 2

◎おいしい店見つけた
そば馳走 とお山──中濱潤子 37

◎弥生町特集補遺の補遺
向ヶ岡弥生町の歴史─弥生時代と明治時代の遺跡──原祐一 38

◎「わが町の空襲」補遺その二
三月四日、谷中三崎坂で──村山竹子さん 40

◎「東京初空襲」補遺
父も見たドーリットル中佐の一番機──坂口和澄 44
上野高校の学級日誌──中澤伸弘 45
あの日の記憶──平井勝夫 46
 
◎明治の植木屋周辺
誰か「神泉亭」を知らないか──平野恵 47

◎あむりた料理教室
トマトでからだイキイキ 48

◎82号銭湯補遺
銭湯のバリアフリー─関根義雄さんに聞く 50

◎確連房通信 51 
工房日誌/報告「やねせんJAZZフェスティバル」「稲垣書店がやってきた」
「めぐりん」に乗って─安達栄子 57 

◎Mの極私的エッセイ 
千駄木独身生活(ひとりぐらし) 58

◎おたより 59
皆様、がんばって─田坂ゆたか様/情報ありがとう─青木智子様/空襲の話─青山やすし様/人も避ける大五郎カット─中濱幹人様/地図を片手に─坂本圭也様/銭湯に行こう!─早坂盤夫様/曙ハウスが消えた─大賀ひろし様/「気になる碑」について─坂口和澄様/昭和二年版「谷根千」─遠藤榮三郎様
喫茶リリオムの手拭い─小野一雄様 62

●剪画「本郷元町公園」(本郷一丁目)─石田良介 61
●マンガ谷根千秘録12─つるみよしこ 63
●昭和五十一年アルバム「谷中2丁目」─望月和枝 1
●谷根千ちず 32
●編集後記 64
●お知らせ 65

題字/本郷松しん 表紙剪画/石田良介 校正/小野寺由紀子 
助っ人/守本善徳+林美子+山下浩子+小林美幸+郷野伊都代+仰木亮彦 
組版/スマイル企画(中溝亜貴子+丸山勇) 印刷・製本/三盛社

 

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