くまのかたこと - 旅の宿編

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対馬 民宿西泊(にしどまり)

比田勝の眠ったような町をぬけ、先の内海が西泊。その修行貞という表札の戸をガラリとあけて内部の豪荘さに目をむいた。
修行家はもともと四国の出身で、中国に渡ろうとして失敗。対馬に漂着し1320年から宗家に仕えていた士族である。
まるでお姫様のように上品な妻の律子さんはNHKの「明るい漁村」にも出たことがあるそうな。食事は刺身、煮物のほか、肉じゃがや揚げ物もあり、これは工事で長期泊まっている人のためのスタミナ食。おいしいうどんも出してくれた。
私はもっぱら焼酎を飲みながら貞さんから話を聞く。貞さんは6年生のとき朝鮮半島に疎開する手はずだったという。「船がこなかったので助かりました」先祖から預かった畑をやめたくない。漁は楽しみで続けているようだった。

森まゆみ
2004年6月11日(金曜日)公開

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