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日々録   2006年4月
No.1046  2006年4月21日(金)

[古書城田さん]

 出勤前、所用があって文京区役所まで行ったのですが、よい天気のお昼時、三々五々とランチに向かう堅気の人たちの晴れやかな表情が眩しかったです。夜型も極まれりという生活にちょっと疲れているのかも。でも、中番で店に行くと、遠方よりうれしいお客さんがお見えになっていました。

 その人は、古書城田の城田さん。九州は小倉の古本屋さんです。お店の場所は、なんと去年の水族館劇場北九州公演の会場から徒歩数分とのことで(小倉駅の新幹線口すぐそば)、団員のみなさんもよく通われたそう。なかでも毎日顔を出した桃山さんがうちのことをずいぶん良く話してくださって、こうして縁が繋がりました。

 また、城田さんは今回東京で行われた大市に合わせての旅の途中なのですが、友部正人さんがライブをした古本屋を訪ねる、というのがテーマのひとつで、東京に来る前には仙台の火星の庭にも行かれたとのこと(この後、ガケ書房、蟲文庫と回られる予定)。そこで、うちの店への道順を記した地図をもらった、という縁もあったそうです。

 城田さんはこんなふうに、ときどき店を閉めてあちこちを旅されています。「せっかく小倉まで行って、しかもすぐ近くに居たのに、お邪魔できなくて残念でした」とぼくが言うと、「そのときは鹿児島の方に行っていたので、店は閉めたんですよ」とのこと。「イベントとかたくさんやられて、良いですね」とおっしゃってくださるものの、ミカコともどもそのフットワークの軽さに衝撃を受けました。そう言えば、ブックオフができてから、まったく旅に出てないや。

 でも、お会いできてよかった。ちょっと前まで、ぼくたちは横の繋がりなどなんにもなく、まったく広がりのない世界で古本屋をしていたのですが、ここ数年、同業者を含め、急激にいろいろな方々と知り合う機会が増えてきました。それは、ほんと素直にうれしいです。
 

<今日の「稲垣書店がやってきた!」
 今日は1冊も売れなかったので、出品されている本から僕の好きな本を紹介します。珍しく自分でも持っている本です。

『日活アクションの華麗な世界』全3巻揃(昭和56〜57年未来社 7,500円初帯)

 日活アクションを好きになったのは学生の頃ですが、直接的なきっかけが何だったかはもう思い出せません。小林信彦や矢作俊彦の著作からの影響に加え、それ以前からあったロマンポルノへの偏愛からくる、日活という会社に対するシンパシーのようなものも影響していたのでしょう。思い出せるのは、ぼくの財布の定期入れ部分で、ずいぶん長い間エースの錠が不敵な笑みを浮かべていたことですね。

 まあそんなわけで、最初に好きだったのは宍戸錠であり、小林旭であり、赤木圭一郎でした。あと裕次郎もですか。よって全3冊からなるこの本を買ったのも、前半部の日活アクション華かりし頃について知りたい、という気持ちからだったのは間違いありません。でも、読みすすめていくうち、俄然それまで知らなかった、アクション路線の凋落とロマンポルノ開始の間を繋ぐ時期の作品群にも興味を持ちはじめたのでした。

 この本を読まなければ観なかったであろう映画の数は相当数に上ります。そして、そのなかのいくつかの作品からは、忘れがたい印象を受けました。たとえば『硝子のジョニー・野獣のように見えて』。たとえば『大幹部・無頼』。これじゃ芦川いずみファンみたいなので(ファンですけど)有名どころも出すと、なんと言っても『紅の流れ星』。そして『新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ』。どんどん名画座が減っていく時代にそれらの作品をかけてくれた大井武蔵野館とともに、渡辺さんに感謝を捧げたいです。

 あとこれはまったくの余談ですが、大井武蔵野館といえば思い出すのは、大崎駅からの道のり。新宿方面から品川まで行って京浜東北線に乗り換えて大井町というルートは、鉄道路線図を見る限りはそうでもないのですが、実際は相当な遠回り。どうしても受け入れられなくって、いつも大崎から歩いてました。あの辺は鉄道ファンにとっては悪くないところなんですよ、これが。

 さて、渡辺武信の本は、他にも下記のものが出品されています。

『ヒーローの夢と死 映画的快楽の行方』(1972年思潮社 吉本隆明宛署名入 20,000円初函)
『映画は存在する』(1975年サンリオ出版 品田雄吉宛署名入 8,000円初)
『  〃    』( 〃   〃    三木宮彦宛署名入 8,000円初)
『映画的神話の再興』(昭和54年未来社 3,000円初)

『ヒーローの夢と死』は今回初めて手に取りましたが、田辺輝男による装幀・写真レイアウトが素晴しい、とても美しい佇まいの本です。目次を見る限り、内容も自分にとってドンピシャリで(「無国籍アクションの歴史的栄光」という章があります)、非常に食指を動かされますが、少なくてもこれについては署名のこともあって手が出ません。ただ、自分の店で売ることができたら、うれしいでしょうね。

(宮地)

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