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[仕事納め]
大掃除を終え一息ついた感じのお客さまが、昨日今日とたくさんいらっしゃいました。嬉しいことです。ありがとうございます。
ほうろうも、年内は本日でおしまいです。大晦日、元日と休んで、年明けは2日のお昼からの営業となります。
今年一年、店に来てくださったみなさま、どうもありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
また先日の火事騒ぎのときには多くの方にご心配いただき、励みになりました。ありがとうございました。
みなさま、よいお年をお迎えください。
世界が平和になりますように。
(ミカコ)
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[ブックオフより怖い]
それは昨日の午後4時半頃、お隣で自動車整備の仕事をされている阿久津さんがやってきて、ドアを開けるなり「火事だよ!」と叫んだことで始まりました。
店の周辺は住宅が建て込んでいることもあって、ときどき火事が起きます。去年だか今年にも、アパートが全焼して老人が亡くなる、という事件がありました。ですから、またどこか近所で火が出たのかな、などと呑気なことを思いながら、でも取るものもとりあえず表に出てみると、なんと燃えているのは店の入っているマンションの2階。隣の「長谷川クリーニング」さんの真上の部屋の、狸坂に面した部屋の窓から、オレンジ色の焔と黒い煙が吹き出しているのを見た瞬間は、さすがにクラッときました。
火に包まれたマンションに、何台もの消防車から大量の水が放たれ、あの本もこの本も、すべてがびしょ濡れになり売り物にならなくなってしまう、まずそんな光景がゆっくりと脳裏に浮かび、次に「泣きっ面に蜂」とか「弱り目に祟り目」とか、ともかくそういった類の諺が頭の中をぐるぐる回りました。一週間ほど前、旧い友人たちと久しぶりに飲んだとき「店はどうなの」と訊かれ、「かなりの低空飛行だけど、でも潰れることはないから大丈夫」と答えたことなども思い出しました。いくら保険に入っていても、戻ってくるのは本を仕入れるのに使ったお金だけ。いま棚に並んでいる本は決して戻ってはきません。
辺り一帯に異臭が立ちこめるなか、時間にしたらほんの一瞬のことだったのでしょうが、そんなことを考えました。もう心臓はバクバクしてます。ともかく急がなければならない119番への連絡は、すでに阿久津さんがしてくれていたので、マンションの非常ベルを鳴らしたり、管理会社に電話したり、それ以外のことを手分けしてすると、しばらくは何もすることがなくなってしまいました。それから消防車のサイレンが聞こえてくるまでの間の長かったこと。実際は5分もかからなかったと思うのですが、ずっと心の中で「早く来てくれ、早く早く!」と念じていました。
次々とやって来る消防車から、銀色の服に身を包んだ消防士さんたちが降り立ち、素早く分散してテキパキと消火活動を始める頃になると、ようやく気持ちが落ち着いて来ました。ふと周りを見ると野次馬の数がすごい。不忍通りの反対側とか城北信金の前とか、文字通り鈴なりの人だかり。自分も他所で火事があったりすると見物に行くので人のことは言えないのですが、こうやって当事者の側に立つと、あれは嫌なもんですね。みなさん目が輝いていてらして。まあそれはともかくとして、さらにしばらくすると、どうやら大丈夫そうだという雰囲気が伝わってきて、やがて「消火しました」という報告がありました。火事の原因は天ぷらの油だったそうなのですが、その火元の部屋以外には延焼もせず、けが人も出ず、マンションの人たちも一安心です。ただし、長谷川クリーニングさんと僕たちを除いて。
天井から水が漏れてくる可能性については、最初に火を見たときから考えていました。でも、現実にその恐怖に直面したのは、長谷川さんの店内に滴り落ちる水を見たときからでした。いろんな人がやってきて、「ほうろうさんは大丈夫?」とか「こっちはまだ水漏れしてませんか?」などと言っていきます。具体的には天井に穴があいているところ(うちの店には多い)は当然として、クーラーも危険。長谷川さんのところは蛍光灯の設置部から漏れている、という情報も入り、そういう場所の真下に置いてある本を一旦撤去したりするのですが、そのはしから「天井の水はどういうふうに回ってくるかわからないから、どこから漏れるかはわからない」なんてアドバイスもあったり。「じゃあどうすればいいのよ」てなもんです。結局、消防士の方から大きなビニールシートを数枚貸していただいたうえで、閉店まで天井を見上げて過ごすことになりました。比較的早く消し止められたので放水の量もそれほどではない、もうこれだけ時間も経った、場所的にもぎりぎりセーフなのではないか、という希望的観測ももちろんあるのですが、結局今日になるまでは心安まることはありませんでした。
というわけで、結果的には水漏れもなく、消火活動で道路が封鎖されていた1時間ほどお客さんがなかったことを除けば、被害という被害はありませんでしたが、ほうろう開店以来最大の危機だったことは間違いありません。長谷川さんの天井には大きなシミができているのですが、それはうちの店とを隔てる壁のすぐそばです。最初に火事を発見した阿久津さんが、たまたま狸坂を通りがかってすぐに通報してくれていなかったら(長谷川さんの店内の火災報知器が鳴り出したのはそれからしばらく経ってからだったそう)、と思うとゾッとします。阿久津さんありがとうございました。あと消防士の方々もとても親切で、心強かったです。感謝します。
でも、ほんと怖かった。
(宮地)
<急告>
12月の毎日曜日に開催している近藤十四郎さんのライブですが、明日23日(祝)の夜も行うことになりました。20時頃から1時間ほど、入場無料です。みなさんお誘い合わせのうえ、お越しください。
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[ひとりごつ]
寒いですね。明日はもっと寒いそうです。
今日は、「古書モクロー」の内澤さんのとっておきが売れました。
先日レジにいたときのこと。
いつも雑誌を買ってく常連さんが、ひとりで話しながら数冊の雑誌を持ってレジにやってきた。
モノを買うときケータイは切れ!と云ったって今時おババの戯れ言にしか聴こえないのだろうけど、そのお客さんは、ケータイを持ってなかった。戦慄。「8時半に来るっていってたでしょ。だからさ・・・。」と相手がいればごくふつうの会話。私としては、むしろケータイさえ持っててくれればこの場は丸く収まるのだが、とすら思った。
イヤホンしてたから、きっとハンドフリーの新機種でも登場したのだろうと、取り残されすぎて今さら何が出てこようが驚きもしなくなってはいるけど、やっぱ怖いです。
1年後くらいには道往く人は皆手ぶらで、あさっての方を向きながらお話ししてるのがふつうになるんでしょうか。
少しでもいい世の中になるといいのだけど。
(ミカコ)
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「今日はサッカーの話」
早番で出勤。お昼過ぎ、近所に住む初老のおじさんに出張買取りを依頼されたのですが、約束の時間に行ってみたらお留守で拍子抜け。30年以上前の漫画の初版本が大量という触れ込みで『赤き血のイレブン』もあるとのことだったのですが、ただ、そのおじさん、最初お店に見えたときからやや酩酊状態で、こんなこともあるかなあとは思ってはいました。でも残念。
19時過ぎに自宅に戻り、テレビでサッカー。ヴァンフォーレ甲府と柏レイソルによるJ1J2入替戦。完全に甲府に肩入れして観戦しました。なぜなら甲府にはFWのバレーがいるので。
バレーは去年まで大宮アルディージャに在籍し、喜びも悲しみもともに分ちあった選手です。ロナウドを彷彿とさせるスピードある突進で相手ディフェンダーを振り切るも、放たれる強烈なシュートはいつもバーのはるか上、というプレー・スタイルながら、人柄もよく、多くのアルディージャ・サポーターに愛されていました。きっと外すとわかっていても、彼が前を向いてボールを持ちドリブルをはじめると、僕たちの心は沸き立ち、「バレー、バレー」と叫ばずにいられないのです。
そんなバレーの晴れ舞台は、期待通りの素晴らしい試合となりました。今年の甲府の試合を観るのはこれがはじめてだったのですが、大宮とはまったく違う魅力的な攻撃サッカーで、特にゴールに迫っての怒濤の波状攻撃は見応えがありました。バレーも相変わらずシュートミスこそ目立ちましたが、殊勲の逆転ゴールは見事でしたし、同点ゴールをアシストした頭での折り返しなど、去年までとはひと味違ったプレーもあり、この一年間での進化を見せてくれました(試合後のインタビューはここで。)。土曜日に柏で行われる第2戦でもぜひ結果を出し、来年は大宮との試合で会いたいな。
というわけで、サッカー・ファンのみなさん。チャンピオンズ・リーグもいいですが、Jリーグの入替戦も面白いですよ。スカパーに入っている方は、土曜日はぜひバレーの勇姿を見てやってください。
せっかくなので、われらが大宮アルディージャのこともちょっとだけ。
J1昇格初年度は、13位でなんとか残留できました。ひとつだけ自慢できることがあるとすれば、優勝したガンバ大阪に2回とも勝ったこと。1点も取られなかったのは、うちのチームだけです。全部で18試合観にいったなかのベスト・ゲームは、大宮公園サッカー場で行われたそのガンバとの一戦と、あと柏での残留をかけた大一番。この試合で藤本が放った、それはそれは美しいループ・シュートがベスト・ゴールです(サポーターの方による面白い観戦記があるので、よかったらそちらも読んでみてください。近藤唯之さんへの愛の感じられる文章で、野球もサッカーも好きという人には楽しめると思います)。ホームの大宮公園が改修でまったく使えない来年は、今年以上に厳しいシーズンになりそうですが、なんとか踏みとどまってくれるよう、引き続きがんばって応援します。
(宮地)
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「ピアノ・リサイタル」
早番で出勤。本を買ったり売ったりといういつもの仕事。あと、ここのところメールでの通販の申込みがちょこちょこあるので、その手配とか。
夜は初台の東京オペラシティ・コンサートホールへ。敬愛するフランスのピアニスト、ピエール=ロラン・エマールのリサイタル。前回来日されたときのことはここでも書きました。そのときは肝心のリサイタルに行かれなかったので、今回はとても楽しみにしていましたが、期待に違わぬ素晴らしい演奏。なかでもシューマンの交響的変奏曲を聴いていたひとときは、とても幸せな時間でした(本当は、どういうふうに良かったか分析的に書けるといいのですが、それは僕の手には余るようです)。あとアンコールで弾かれたブーレーズの「4つのノタシオン」。こういうタイプの曲で観衆が心から拍手喝采するなんてことはそうそうありません。でも、前回のリゲティのときも感じましたが、この人は現代音楽の難曲と対峙しエンジンを全開にしても、とても美しい音でピアノを鳴らすのです(全開ではないのかもしれませんが)。クルタークの「3つのゲーム」も印象に残りました。自分好みの未知の曲を知るのは、どんな時でもうれしいものです。
さて、今年はクラシックの演奏会にあまり行かれず、ピアノ・リサイタルは今日が2回目でした。日々録をサボっていたのでここでは書いていませんが、もうひとつは10月に聴いたイーヴォ・ポゴレリッチです。いい機会なので少しだけ。
ともかく凄まじい演奏でした。あんなショパンの3番を聴くことは、おそらくこの先と二度とないでしょう。もはや曲の解釈がどうこうということではなく、ショパンの曲をまとった今の生のポゴレリッチに触れるとでもいったもの。ともかく緩急のコントラストが普通でなく、曲の構成自体は壊れてしまっていると言ってよいと思うのですが、細部のひとつひとつの音の美しさもまた、尋常ではありませんでした。そして観客の演奏への集中も自然それに見合ったものとなっていき、照明を落した暗い暗い舞台の上でポゴレリッチの弾く一音一音を、極度の緊張を強いられながらも、何一つ聴き逃すまいと固唾を飲みながら耳を傾けていました。これもまた、滅多にないことです。終演後はとても疲れましたが、得難い体験をしました。
(宮地)
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「 EXILS / TONY GATLIF 」
トニー・ガトリフ監督の新作『愛より強い旅』がもうすぐ劇場公開されます(12月17日より、渋谷シネ・アミューズにて)。前作『僕のスウィング』から3年、ほうろうでは今回も店を挙げてこの作品を応援します。本日より特別鑑賞券(1500円)の取り扱いもはじめました。「うっかりしてて観そこなった」などということのないよう、早めにご購入されることをおすすめします。
アルジェリア出身でロマ(ジプシー)の血を引くガトリフ監督は、これまでの作品でも自らの故郷であるロマの文化(なかでもその音楽)にこだわった作品を作りつづけてきましたが、今回はさらに踏み込み、主人公にアルジェリアにルーツを持つ青年を据え、彼とその恋人が、パリからアンダルシア、モロッコそしてアルジェリアへと、自らの根っこを辿り旅するさまを描くという、かなり自伝的な要素が含まれた作品になっているとのこと。とても楽しみです。
『ラッチョ・ドローム』ではじめてこの監督のことを知り、それからずぶずぶとその作品に溺れていったさまについては、これまでもここで度々報告してきています。よって、その辺りのことについては今日はもう触れません。もし興味も暇もあるという方がいらっしゃいましたら、下記の日々録バックナンバーを順番に読んでみてください。
2001年9月19日
2002年12月24日
2002年12月29日
2003年1月10日
2003年1月20日
2003年2月17日
2003年5月17日
<今日店でかけたCD>
『カンテ・フラメンコの女王』ニーニャ・デ・ロス・ペイネス(RISE SSR-432)
ガトリフ監督に教えられた今のところ最高のものは、フラメンコの唄(カンテ・フラメンコ)です。フラメンコと聞いて「何それ」という人は、少なくとも日本にはほとんどいないでしょう。でも、その唄に真剣に耳を傾けたことのある人もそれほど多くはないのでは。僕も以前は、ハデな服着た女の人がくるくる回る、ぐらいのイメージしか持っていなかったのですが、「オーレ!」って踊るのだけがフラメンコではありません。ぜひ一度、深い唄(とそれに寄り添うギター)をじっくり味わってほしいものです。ということで、今日からしばらく、このコーナーで僕の好きなフラメンコのCDを紹介することに、今決めました。
ニーニャ・デ・ロス・ペイネスは、フラメンコの歴史に残る、偉大なカンタオーラ(女性の歌手)です。おもに20世紀の前半に活躍した人なので、このCDに収められた音源も古いものが多く、音については決して良好とは言えないのですが、そんなことなどまったく気にならないくらいの素晴らしい唄が聴けます。実は前にもここで紹介したのですが、カンテといえばやはりまずこれ。WORLDのコーナーがあるCDショップなら置いてると思いますが、文京区の図書館でも借りられます。
(宮地)
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「近藤十四郎シークレット・ライブ初日」
近藤さんが「シークレット・ライブ」というから、あんまりあちこちで宣伝しなかったこの企画。でも「シークレット・ライブ」というのは、どうやら秘密ということではなくて、ポスター貼ったりチラシ撒いたりといった広報活動を行わない、というくらいのことなのだそうです。あちゃ。
開店時から降り続いた雨が一旦止んだ午後19時30分過ぎ、おもむろに近藤さんがやってきて、ギターアンプのセッティングだけを簡単に済ませると、わりと素っ気なく演奏は始まりました。お客さんは南陀楼綾繁、内澤旬子夫妻をはじめ5人ほど。ビール片手に座る人もいれば、棚の本を眺めながらリズムをとっている人もいるといったふう。ぼくはレジで聴いていたんですが、マイクを通さない近藤さんの声の響きの素晴らしいこと。ソウルフルな唄を堪能しました。途中飛び入りで参加したハーモニカの方のソロも含めて全部で6〜7曲、1時間ほどの演奏でしたが、僕たちが想像していた以上の、贅沢な時間となりました。
というわけで、そんな楽しいライブをあと3回、12月の毎日曜日、19時半頃から行います(21時前には終了します。最終日はなんとクリスマス!)。入場無料、楽器飲物持ち込み自由。飛び入り歓迎。夏の近藤さんのライブに来た方も来られなかった方も、夕食後の散歩がてら覗きに来ていただければうれしいです。
(宮地)
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浅草水族館続報。
本日の品出し『東京100年モノごと誌』の表紙は、川上澄生の昭和5年「浅草公園カジノ・フォーリー」でしす。彼も行ってたんですね。舞台中央の髭紳士はエノケンかなぁ。
当時浅草水族館を切り盛りしていたという倉林さんの話が収録されてました。
十二、十三の水槽があり、竜宮城をしつらえた特大の水槽にはゴンズイ、ベラ、エイなどが泳ぎ(しっぶいセンス)、三重県の海女による、なんと、真っ赤な腰巻き姿の水中ショーをやったり、また、ある年は銚子に揚がったゴンドウクジラを買い取り塩漬けにして展示、連日押すな押すなの行列だった、そうです。
スゴいことになっちゃってます、浅草水族館。行ってみたいですね。
やっぱり浅瀬に乗上げちゃったクジラも、かわいそうとか云ってないで、とりあえず塩漬けは必須ですかね。
(ミカコ)
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ああーーー。遂に11月は一日も書きませんでした。
ほうろうでは未だに店にパソコンがないため、ネット作業などはそれぞれが家でしていたのですが、それにも限界があるので店にADSLを通し、iBookとともに通勤するようにしたのです。
そしたら、今までは私が早番で出た後、中番までの間に宮地が書くとか、私が早番で上がって、中番の宮地が帰ってくるまでの間に書いていたのが書けなくなってしまいました。ささーっと書ければいいのですが、結構時間がかかってしまうので、仕事中には書けないし、で。あー、情けな。
それと最近、ちょっとブログ酔いみたいなのもあって・・・。
まずは11月のことを月録で。
11月初めは、「水族館劇場」の北九州公演へ。
ほうろう初の社員旅行を自分たちへの言い訳に2日間店を閉め、光源寺の奥さまをはじめとする、ほおずき市メンバーの水族館好きが集った二十名近くのツアーに参加しました。九州人の厚い人情にもてなされ、またこんなにご近所の顔ぶれで移動するのは初めてのこと、ここは小倉か、大観音か、と不思議な浮遊感も味わい、1泊2日でしたが、楽しいツアーとなりました。
小倉駅の海側の工業地帯を背景にした広大な空き地は、水族館劇場のテントがよく似合い、工場の煙突が噴く焔も、すべては水族館のために存在しているようでした。芝居は大変盛況で地元客で毎日大入り。(ブログaquariusでテントが組まれる様子から、解体して更地になるまでの写真がアップされています。)
80年代に筑豊で旗揚げしたという「水族館劇場」が、再び旧知の仲間とともに小倉の地で芝居を打つ機会に立ち会えたのは、感慨深いものがありました。
中頃の日曜日の夜は、誘われるまま「間間間」に。
いい空間です。発売中の『暮しの手帖』で、南陀楼綾繁さんが不忍ブックストリートを紹介していますが、その中にも載っています。
築100年って云ったかな、酔っぱらって忘れてしまったけど、古いので大家さんが壊そうとしていた建物に、芸工展スタッフが住むことになり、今は毎週末、金曜日はバー、土日がカフェとして開けはじめたそうです。店ということにこだわらず、人の集まるオープンな空間を作りたいという思いから、今回のお店屋さんナイトみたいな企画もしているようで、『不忍ブックストリートMAP』の話なんかもさせてもらいつつ、なんだか楽しくて、寛いでしまいました。ここ1年でも新しいお店が増えてます!
11月のおしまいには、往来堂の「不忍ブックフェア」の打上げ。
往来堂の一番いい場所使って、売れなかったら大迷惑だよなーと、不安のうちに始まった企画でしたが、売上げもよかったようだし、店長笈入さんには今後の展望にも繋がったようで、よかったです。(今配布中の未來社のPR誌『未来』にも笈入さんがそのことを書いています。)
メンバーにとっても、笈入さんのブログでの売上げ報告に、ハラハラ刺激的な日々を送れたし。あまりに心配で往来堂を覗きにいくと、そこでやっぱり心配で看板などの設置に来てた内澤さんにバッタリなんてこともありました。
さて、冊数チャンピオンは「文庫、新書、コミック」部門と、「それ以外(単価の高い本)」部門に分けられ発表されました。
「文庫」部門では、オヨヨ書林セレクトの『小さなスナック』ナンシー関+リリー・フランキーで、15冊。
「それ以外」では、結構人ミルクホールの『タモリのTOKYO坂道美学入門』タモリで、9冊。
『浅草紅団』川端康成が健闘の8冊で、私も笈入賞をいただきました。往来堂ウキウキお買い物券1000円です。イエーイ!
買ってくださった方、どうもありがとうございます。
冊子の紹介文には、コラージュ的、と書きましたが、それは小説として筋を読もうとすると大変読みづらいものであるけれども、断片を追っていく楽しさ、それらを俯瞰することで当時の熱気を今味わえる本だと思えること、そして、私の選書テーマである「水族館劇場」に絡めて云えば、現在の浅草木馬亭の隣に当時ほんとにあった「水族館劇場」の描写にワクワクしたので『浅草紅団』を選びました。
ややこしいのですが、今年の5月には現「水族館劇場」が、劇場公演をしない彼らの念願の劇場だったという浅草木馬亭で公演し、カジノ・フォーリー水族館レビューも演っています。
当時の「水族館劇場」には水槽もあり水族館(今見たらきっとインチキ臭い)で客も来ていたようですが、それが廃れ始めると、二階で客を呼ぶためカジノ・フォゥリィと銘打ったレヴュウを始め、そこに川端も通いました。『浅草紅団』は、新聞小説としてリアルタイムで連載されていたため、川端が書くことにより、第何次だかの、カジノ・フォウリィブームを巻き起こしたようです。
この小説は読みづらいが故に、川端が上野桜木の家から毎日通い詰め彷徨った浅草が、どんなに手を伸ばしても捉えきれない迷宮であり、それは川端の筆を持ってしても、まるで熱病にうなされているかのような文章を書かせてしまうほどだったのだと思うと、浅草の魔力が伝わってきます。そして元来持ち合わせていた川端の流浪者への果てしない憧憬は、どうしても私の中で現「水族館劇場」へと結びついてしまうのです。うーん、紹介するのもむづかしい本です。
『浅草紅団』を紹介するにあたり、堀切直人さんの『浅草』や、季刊『ブッキッシュ』4号「特集 海野弘が歩いたモダンシティー」(オヨヨ書林で売ってます)の力を借りました。そうして更に当時の浅草にドキドキし、にわか浅草入門を果たした気分になりました。自分なりの副読本を見つけると楽しいかもしれません。
そうそう、初版の『浅草紅団』は、吉田謙吉のアバンギャルドな装幀が、ズバリこれしかないという感じで素晴らしいのです。興味のある方、探してみてください。
他の選書『ラフミュージック宣言』大熊ワタル、『忘れられた日本人』宮本常一は、それぞれ3冊ずつ売れました。まだ紹介していない『忘れられた日本人』について少し。
これは、私にとってものの見方を教えてくれた礎の本です。
この本には、彼の祖父の話のほか、あまりにも有名な馬喰翁の語り物「土佐源氏」など関西方面の古老の話が中心に収められています。
辺境の地に連綿と受継がれてきた、誰の目にも留められることのない個々の小さな暮しには、日本人の情緒の奥深さ、思いがけない奔放さ、生活の厳しさや豊かさが幾重にも折り重なって、静かで力強い物語りがいくつも潜んでいました。この本を読むうちにそれまでぽつねんとした存在だった私の足元にも、細くて長い長い道が続いているのが見えてきたのでした。
あえて紹介するには定番すぎる本なのですが、未読の方も多いはず。ぜひ、読んでみてください。
もう、往来堂フェアが終わってからひと月以上経ってしまいましたが、フェアの本は常備しておくとのことですので、後から読みたくなっても安心ですね。
来年の「不忍ブックストリートの一箱古本市」の日程も決まりました。4月29日(土)開催です。詳細は改めて。
また、地図も改訂版を出すつもりでいます。
さすがに月録は長くなってしまいました。
ここまでお付き合いくださった方に、耳より情報です!
あさって12月4日(日)、ほうろう奥のスペースで、「師走の近藤十四郎シークレットライブ」やります。入場無料です。たぶん19時半くらいから始まります。
近藤さんソロで、アコースティックな感じでやります、とのこと。
先日店の控え室にいて、レジでの話し声に「おぉ、このいい声は誰じゃー?」と見てみたら、近藤さんでした。なんか、例えが変かもしれませんが、和田アキ子みたいでした。ちなみに和田アキ子は、私のソウルクイーンです。
シークレットライブですが、誰でも入れますので、ぜひお越しください。
(ミカコ)
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