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日々録   2002年7月
No.437  2002年7月11日(木)

 ある日突然、近所のお寺の境内に異様な造りの妖しげな見せ物小屋を思わせるテントが出現した。
「水族館劇場」色あせた幟にはそう書いてあった。全ての始まりは3年前のここからだ。

 サーカスのテントには何度か足を運んだことがあったけれど、まさか自分の住む町にこんなものが来るとは!しかし、あまりの驚きで入るのを躊躇しているうちに、テントは跡形も無くなっていた。

 次の年、ある日またテントがたった。迷うことなく足を運ぶと、そこのお寺のご住職に声を掛けられた。うちの店にも来てくれたことがあるという。
 なぜ水族館劇場のお芝居が駒込大観音光源寺に来ることになったのか。水族館劇場の人たちが地図を片手に境内が広そうなお寺に片っ端から電話したところ、ポンと膝をたたいたのがこのご住職だったのだ。
 おもしろいお寺が近所にある!私たちは興奮した。

 芝居が終って数日後、今度はたまたま本駒込の駅に「ほおずき市」の黄色いチラシが貼ってあるのを見つけた。あ、あそこのお寺だ。実はその頃私は、何かえたいの知れない不安にとりつかれ心臓が捩じれそうで、ひたすら気持を閉じて憂鬱な日々を過ごしていた。(そんなこともたまにはあるのだ。)放っておくとどんどん沈んでいきそうだったので、ここいらでちょっと動いてみようかと、陽射しの強い6月の終りお寺にひょっこり顔を出してみた。チラシに協力の呼びかけがあったのを思い出したのだ。

 ちょうど境内に作業中のご住職がいたので、一日だけお休みなので何か出来ることがあったらお手伝いします、と申し出た。ご住職は手を止め、え、そーお?じゃ、女房に訊いてみるから待っててね、と言って柔らかな笑顔の奥様を連れて来られ、私の申し出は温かく迎え入れられた。

 元来が楽しみたがりの性分だから、お手伝いが決まるとすっかり晴々とした気分で当日を迎えた。細かな作業で、本堂の中に入らせてもらってちょっと得した気分になったり、ほおずき屋のお手伝いでは飛ぶように売れる快感を味わったり楽しさが凝縮した一日を過ごした。そこには、縁の下の力持ちに撤する水族館劇場の人たちがいたし、目一杯楽しもうとする同じ町に住む大人達がいた。もちろん、遠方から遥々やってくるパワフルな人たちもいた。

 その夏は店の町会の写真展の開催もあり、そこにも初めてお手伝いに顔を出したりして、道ばたで挨拶する人の数が増えた。(後日につづく、かも)

(アオキ)

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