No.333
2002年3月7日(木)
遡って3月4日、六本木の島唄楽園に大城美佐子さんのライブを聴きに行った。
窓に映る六本木のネオンに、ウチナーの唄者の、それも大御所の名唱。なんだか、不思議な眺め。
今回は、大城さんが沖縄で営む民謡酒場「島思い」のメンバー三人と一緒にまわっている。
いつだったか、うちの店で久しぶりにCDをかけた時、一曲目で大城さんの声が聴こえた途端、全身に鳥肌が立ち、沖縄に行った時の太陽や、熱気や、いろんな人の顔やらが、ワッと一気に蘇ってきて、もう胸がいっぱいになってしまったことがあった。レジで、独り静かに涙を流した。
だから、ぜひ生で、出来れば間近で、聴いてみたかった。
目の前で見た大城さんは、存在が、まさに艶そのもの。
さすがは、おんな嘉手苅の異名を取った人である。
こんなに艶のある65歳に、わたしはこれまで会ったことが無い。
艶と、凛とした強さ。
そして、ふっ、と微笑んだ時の、頬骨に現れる優しさ。
三線を爪弾く指の美しさ。
女のわたしも、ゾクッとする、情感豊かな唄声、潤いを含んだ余韻。
CDのタイトルにもなっているが、彼女の唄声を例えて絹糸声(いーちゅぐぃ)と言うのだそうだ。言い得て妙!
シビレタ・・・。
あぁ、この唄声をPAとおさずに聴いてみたい。
願わくば、この声が沖縄の美しい海と、真っ青な空に吸い込まれていくところで聴いてみたい・・・。
目をつむってそんな事を考えた。
リクエストで「白雲節」が唄われた時に、かの竹中勞氏にまつわるエピソードが紹介された。
島唄に魅せられ、その紹介に力を尽くした彼は、死を目前にして癌の激痛と戦いながらも、沖縄に取材に飛んだ。その旅程で、自分が死を穏やかな気持ちで受け入れられるようにと、大城さんに「白雲節」を名護浦の海辺で唄ってもらったのだそうだ。
それから、一ヶ月と少しで、彼は帰らぬ人となった。
白雲ぬ如に 見ゆるあぬ島に
翔び渡てみ欲さ 羽ぬ有とて
飛ぶ鳥の如に 自由に翔ばりてれ
毎夜 行じ逢て 語れすしが
我が思る里や 白雲ぬ如に
見ゆるあの島ぬ なひんあがた
我がや思み尽す だきに想ゆしが
渡海ゆ隔みりば 自由ねならん
たとい渡海隔み 離りやい居てん
白雲に乗して 思い知らさ
一人淋々と 眺むみる月ん
里姿なとて 忘りかにて
(Victor CD 沖縄島唄3 『沖縄うらみ節』大城美佐子「白雲節」歌詞より)
沖縄がジーンと心に響く、一夜でありました。
(アオキ)
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