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ぼくは小さな灰になって…。あなたは劣化ウランを知っていますか?
ぼくは小さな灰になって…。あなたは劣化ウランを知っていますか?
御庄博実 石川逸子
西田書店  定価:本体1,200円+税  113頁
2004.3.20 発行  ISBN4-88866-383-1

ぼくはヒロシマの医師として 詩人として
黙っているわけに行かないのだ
ヒロシマの核廃絶への
地を這う願いを
イラクの劣化ウラン被害の実情に重ねて
許すことが出来ないのだ

これが巻頭文。
二人の詩人の作品が11編と10編。
広島共立病院名誉院長でもある御庄博実氏は、本名丸屋博の名で「劣化ウラン弾の罪」を書き、科学的な解説する。

この本は本郷にお住まいの香月丈子さんから寄贈された。
西田書店は神田神保町に小さな木造社屋を構え、営業的に難しくとも届けねばならない詩集の出版に力を注ぐことで知られる。
詩が核をなくす力になるかどうかはわからない
いや、そんなの、ないだろう。
しかし、「谷根千」が76号の巻頭に竹内浩三の「骨のうたう」を掲げずにはおれないような、
今の状況のなかで自分の考えを見失わない手だてとして、
言葉が必要になる。どうしても必要になる。
小さくなる     アフガン1  御庄博実

手足を縮めて
できるだけ小さくなる
小さければ 風は頭上をこえ
小さければ 視線も側をかすめるだけ

誰にも ふれられたくない
誰にも 見られたくない

街角の崩れた日干しのレンガの
焼けこげた部屋が
私たちのものだった日は
はるかに遠い過去だったのか

記憶に消える程の日が過ぎたわけではない
幾日もの爆撃が
街を焼き 羊を焼き
ちち ははを焼いて
わたしのこころを焼いた

わたしはいよいよ小さく
黒こげたわたしの心を抱く
飢えも 寒さも 侮蔑も
黙ってわたしの上を過ぎる

(略)

トモちゃん            石川逸子

トモちゃんは
日本が敗けて二十二年もたってから生まれましたから
戦争のことは知りません

カーキ色のゲートルも もんぺも
「クウシュウキホウハツレイーイー」も知りません
「大日本帝国ゥ 万ザアイィー」も知りません

少女だったお母さんが
長崎に住んでいて
防空頭巾をかぶって
坂道をかけおりていったことも知りません

なんにも知らないトモちゃんが
五つのとき 高熱で倒れて
「再生不良性貧血」だといわれました

小さいトモちゃんは 血を吐き
鼻血をはげしく噴きだし
どんどん血が足りなくなっていくのです

お母さんは
思い出すまいとしていた八月九日の閃光に
いままた ぱあっと照らしだされる思いでした

(略)
2004年6月17日(木曜日)公開
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meme2006年8月19日(土) 18時58分
数々の障壁があるとは思いますが、劣化ウラン弾の毒性・被害についての正しい情報がもっともっと広がって、地域・国レベルでの不使用決議の採択や、無毒化サイクルのプラントの実用化などがなされていってほしいです。在日米軍や自衛隊が、劣化ウラン弾...
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