!新谷根千ねっとはコチラ!

谷根千ご寄贈本棚

一覧に戻る
「青鞜」の火の娘 - 荒木郁子と九州ゆかりの女たち / 中尾富枝
「青鞜」の火の娘  - 荒木郁子と九州ゆかりの女たち / 中尾富枝
「青鞜」の火の娘 - 荒木郁子と九州ゆかりの女たち
中尾富枝
熊日出版 本体2,190円 四六判 323P
2003.6.14発行 ISBN4-87755-142-5

◆帯に「『青鞜』を発禁にした女」とある。
日本初の女性による文芸雑誌「青鞜」は、1911年9月に創刊された。発行人は平塚らいてう(26歳)、中野初(25歳)、保持研子(25歳)木内錠子(25歳)の4人。表紙絵はのちに高村光太郎と結婚する長沼智恵子が描いた。
発行所は私たちの「谷根千」編集部にほど近い本郷区千駄木林町9番地の物集邸。
90年前に発行されたこの雑誌を、その内容はまったく違うとはいえ、私たちはずーと意識している。「谷根千」25号は「青鞜」特集号だった。
ただ荒木郁子に関しての知識は浅い。
「青鞜」4号に、郁子の書いた、年下の青年との不倫をテーマにした小説「手紙」を掲載し、「青鞜」は第1回目の発禁処分を受けた。すでに書店をとうして販売がすんでいたので実害はなかったが、これで物集邸に事務所を置くことができなくなり、本郷区駒込蓬莱町万年山少林寺に移転している。
荒木郁子が神田三崎町にあった旅館、「玉名(ぎょくめい)館」の女将であり、小石川ににはその支店もあったこと。玉名の名は創業者である郁子の父、荒木官太の出生の地である熊本県玉名(たまな)郡からとられたこと、がこの本から知れた。
今回著者が発見した玉名館の貴重な写真が嬉しい。
「青鞜」に関わった九州の女性、荒木郁子、神近市子、伊藤野枝の必死に生きた姿を、九州をキーワードに丁寧に書いた本だ。
2003年10月16日(木曜日)公開
ページトップへ