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くまのかたこと

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3月16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日

3月16日(月)
一日、小屋で読書。花粉症がひどく林の中を歩けない。3時頃、レストラン緑山さんに行ったら賄い食をごちそうになる。おいしい。でもこんなことしていたらダイエットどころではない。

3月17日(火)
一日小屋で読書。朝はおかゆ。昼はトースト、夜はスパゲティー。山は風邪が吹き荒れ、花粉症ひどくあわてて帰る。

3月18日(水)
一日ゲラ戻し。旅行に行く前はなぜか仕事はかどりけりがつく。そのために旅行を計画する。夜、小松さん、寄田さん、松原金田夫妻と神楽坂でワイン。ソムリエのやっている店で高い割にはそう美味しいワインではなかったような。みんなのはなしが面白かったからいいけど。

3月19日(木)
髪きりにいく。午後、梅田さん来る。我が家の電磁波を測量に来てくださった。ゆうがたケンブリッジにサバティカルで行く奥武則さんの送別会。もと毎日新聞の学芸部記者で一人で3ページの書評欄を作っていた。その後、法政大学の教授になった。私もこれからロンドンに行くのよといったら驚いている。でもすれ違いで今回はあえそうにない。学士会館の中華,なかなかいける。
毎日の懐かしい冠木さん、光田さん、桐原さん、帰りに地下鉄の駅で手をいつまでも振ってくれた。教養と品のある記者の最後の世代かも。

3月20日(金)
午後のJALでロンドンへ。ヤネセン校了前なのに心苦しいが、随分前に切符をとったししかたなし。高校の大先輩谷井澄子さんと。エコノミーセイバーというちょっといい席で23万円。ラウンジが使えるので乗るまでに二人でワインや大吟醸をさんざやって、いざ寝ようと思ったら寝られない。つまんないサスペンス映画を何本も見る。釣りバカ日誌も。来る前に井形慶子という人のエッセイを読んだ。イギリス人との恋愛や結婚しなかったわけ、それでもしょっちゅう行くはなし。なんかもてるの自慢ばかりしているような本だった。もひとつ高島慶子という人もいて、こちらはハウスキーパーしながらのイギリス版『家政婦は見ていた」でおもしろいが、尾籠なはなしが多くて品がない。そのすみこんだリドリースコットなるやり手の映画プロヂューサーの作品も機内で偶然見ることができたが、B級もいいとこ。マークス寿子という『イギリス貴族と結婚した私』に至ってはタイトルからして読みたくない。イギリス人と結婚したら『いいわねえ』でチェコ人イラン人と結婚したら「どうして」といわれるのはなんとも差別と結婚した人がいってた。イギリス人といってもいろいろだ。フランス人すべてがおしゃれでエスプリがあるわけでもあるまいし。ベラルーシという国が知りたくて岸恵子(またケイコさんだ)の『ベラルーシの林檎』を読んでみたら、期待はずれ、自分がどんなに名家のインテリと結婚して教養あるすてきな暮らしをしていたかが延々と書いてあった。でもNHKの旅番組でみたら長年いる割にはフランス語は?無事、ヒースロー到着。澄子さんの友人,ジャーナリストの恩田さん、迎えにきてくれる。途中、アビーロードをとおる。ビートルズの横断した,伝説の。夜は恩田さん宅にて。スロージンなど珍しいお酒をいただきダウン。澄子さんのいとこの森嶋瑶子さんも見える。

3月21日(土)
お昼に恩田さんのところで素晴らしくおいしいチャーシューメンをゴチそうになり、スイスコテッジあたりを散歩してから、マルボーンストリートを歩く。別れて私はボンドストリ−ト。ブランド街で興味なし。グリーンパークから公園を眺め、バッキンガム宮殿からトラファルガー広場に出た。ネルソン提督の像にスーザン・ソンタグの小説『火山の恋』を憶い出す。首相官邸のあたりを歩いて夕暮れのウェストミンスターとビッグベンを見て帰って来たが、週末の地下鉄は路線により動かなくなってしまう。遠回り三階乗り換えで帰った。近くのグリーンコテッジなる中華、美味しい。えびの塩焼きとポークのロースト。ただしクリスビー、かりっとしたのが好きなのにどろっと甘い汁がかかってがっかり。それでも10年前に比べイギリスはずっと美味しくなったような。ロンドンで驚くのは電線がないこと。それと,ホントに空爆はあったのか。こんなに古い建物が残っているとは。

3月22日(日)
日曜日、一人でマーケットに出かける。イーストエンドの花市へ。タクシーの運転手親切。弟が日本人と結婚してるそうな。それからサンデーアップマーケット。フリーマーケットのように思い思いの店をビール工場跡地に並べている。ここで素晴らしくおいしい豚肉を英語ではロケットというルッコラと巻いたラップをたべる。褐色の肌の売り子がカリビアン、といってたからカリブ海の料理らしい。なんとたこ焼き屋とおでん屋があった。そこからバスでロンドンブリッジまで、デザイン博物館を見てから、テムズ川沿いに倉庫を改装してすてきなアパートになっているのを眺める。車は通らないし、一階はレストランだし、すてきなガラスのバルコニー搗きで景色は抜群、すんでみたい。なんで隅田川沿いはこういう風にならないのか。高速道路があるからか。そういえばロンドン市内で高速を見ない。
駅もいくつもあってそこから郊外へ延びていくので線路や高架もない。不便のようだが都市景観としてはこの方がずっといい。

森まゆみ

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