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くまのかたこと

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12月9日〜12月14日

12月9日(火曜日)
どうにか編集は終わりそう。隣町の和倉温泉に入りにいった.湯上がりで池の鯉にえさをやっていて思い出したはなし。「小池に鯉が泳いでいました。そこに長靴が流れてきましたが、鯉は履かずに泳いでいます。なぜでしょう」「鯉には大きすぎるから?」「鯉には足がないから?」「ちがいます。こいははかないから」


12月10日(水曜日)
仕事もかたずいたので正子さん、寛子さん、ともちゃんと金沢見物。赤煉瓦の工場跡をアートの作業場と伝統技術の学校にしてあった。すてきな環境である。
西、東の茶屋街、新しく伝建になった主計町をみる。商業主義。川村の甘納豆やの店のディスプレイと味には感心。コーヒーを飲んでいて思い出したはなし。
アメリカで喫茶店にはいった有る人がウェイトレスに「ブラック?オア ホワイト?」と聞かれ「ノー、アイム イエロー」といった。


12月11日(木曜日)
千葉の成田の近くにすごいお百姓がいるというので小松先生と北大の大崎先生といく。このかたは野菜と米をつくっているが、竹炭で土壌改良をしている。
あなたも畑やっているなら土壌の問題から考えなくてはだめよ、といじめられる。亜硝酸から土を考える。すごいテーマだ。


12月12日(金曜日)
朝、文化庁、帰って一日雑用.年とともに知り合いが増え,郵便物が増え,礼状を書かねばならない。伊藤信吉さんに教わったこと。「長いきの秘訣。よく寝よく食べ義理を欠く」これでいかなくっちゃ。サトコ「親切にしてもらったけど、それお母さんの娘だって知っているからかな?」娘に余分なストレスをしいて悪いと思う。ぜったい二世にはなりたくない娘に。


12月13日(土曜日)
吉野作造記念館をみて、鳴子温泉で共同浴場に入り、それから大好きな旅館みやまに泊まる。李白ではないが一杯一杯また一杯。甘納豆を食べていて思い出したはなし。京都の人が友人に「長崎に行ったらカスドスってお菓子を買ってきてくれ」と頼まれた。その人は律儀に買ってお土産にしたが、もらった人に感想を聞いたら「ほんまに、かすどすなあ」と答えたとか。関西弁ではかすは「箸にも棒にもひっかからないどうしようもないもの」というニュアンスがある。

12月14日(日曜日)
仙台で文学館の最終講義。来年も森鴎外の即興詩人を読む、という講座をする約束。とてもいい聴衆である。それから高橋ひろ子先生のお家で「はらこめし」をいただく。美味しい。他に釣ったばかりのめばるの煮付けやカブラ蒸しもあって感動。真理ちゃんたちとくるまで帰る。丸森は寒い。

森まゆみ

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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