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くまのかたこと - 旅の宿編

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和倉温泉 多田屋

お付き合いのできた七尾のすぐ近くに和倉温泉があると気づいたのはずっとあとのこと。
何時も泊めてもらっている鳥居しょうゆ店の正子さんが「今日は、和倉温泉行かんかね」ということで、ビューンと車で10分。
何だ、もっと早く連れてきてくれればいいのにと思ったものですが、総湯という共同浴場は、泉質はいいのですが、なんだかごちゃごちゃしたところです。
とくに露天風呂は周りが高い塀で囲まれ、屋根がかかり、どこが露天じゃい、と言いたくなる。二度目は七尾からバスでひとり行ってみた。それで、有名な加賀やさんに立ち寄り湯はできませんか,と聞くと,お客様をにこやかにお迎えしていた洋服の男性がその笑みを崩さないまま「私どもでは立寄はやっておりませーン」というわけで、「なんだあ」でした。そしたら正子さんが「多田やさんなら知り合いだから入れてもらえるかも」というので行ってみた。海に面して広い広いおふろがあって、岩を組み合わせた露天から夕日の沈むのを見ました。これも目隠しの岩がちょっと邪魔ですが,きっと「のぞかれる。きゃあ」なんていうばかなお客の注文で、どこの露天風呂もつまらない岩や,ついたてや植え込をつけてしまったのでしょう。迷惑な話です。
縁あってここに泊まりました。食べきれないほどのごちそうで,久しぶりにああ,昔風の温泉旅館に泊まったなあ,と思いました。

森まゆみ
2008年10月25日(土曜日)公開

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