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くまのかたこと - 旅の宿編

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坊津 寺田旅館 (2003年)

枕崎からめったにこないバスに乗り、坊津へ。坊津は鑑真和尚が上陸し、一条兼良の流された場所である。日本三津のうちの一つで、昔から交易で栄えた。いりくんだ入江はなにか霊が漂っているような不思議な感じがする。
郷土史家の鈴木順二先生に丁寧に案内していただいた。石垣の道、密貿易の邸、唐人墓、廃仏毀釈で壊された寺の跡・・・
泊まったのは入江に面した寺田旅館。もと網元の妻だったというおばあさんが黒鯛のでっかい塩焼きやらフライやらすごいごちそうを作ってくれた。私しか客はいず、二間つづきの二階に広々と寝た。これで7500円はありがたくて涙が出る。でも思ったより鹿児島は寒い。明け方寒さで目が覚めると、窓から昧爽の蒼い港が見えた。鑑真さんも何度も失敗して、目も見えなくなって、63歳になってやっとここらの浜に上がったのだ。胸がしいんとした。

森まゆみ
2004年5月21日(金曜日)公開

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鍼灸師松本2007年2月6日(火) 11時36分
はじめまして。 私も、2003年に寺田旅館さんに宿泊しました。 私は1月でしたが、 ストーブで部屋が温められていて、 おばあさんのあったかさに、心打たれました。 おばあさんは、とてもかわいいお顔をされていて、 人情の厚い、人間味の...
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