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くまのかたこと - 旅の宿編

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乳頭温泉鶴の湯(1999)

黒湯は冬期休業だが、もう一つ、名声の高い鶴の湯は冬もやっているというので、「太陽」から取材の仕事が入るのを幸いに、2月、受験の子をおいて置いて出かけた。二人も受験生がいると、お互い煮つまってせつなくなる。
新幹線の田沢湖駅からタクシーで雪の間を縫い、鶴の湯につく。入り口にかまくらがあり、私は一辺で童心に直った。その昔、NHKの「新日本紀行」で見た秋田のかまくらが憧れだった。そうか、ここは秋田なのだ。
江戸時代に藩主の湯治場だったという宿は、まるで江戸時代と同じ造りの建物で、室内に炉が切ってあり、そこに芹のたくさん入った自慢の鍋をつるし、魚を焼いて食べた。風呂もいくつもあってそれぞれ泉質が違い飽きない。主人夫妻はじめ番頭さんも仲居さんもきびきびして、働く美しさにあふれ、こういうのは本当にいい宿というのだった。

森まゆみ
2004年2月16日(月曜日)公開

関連リンク http://www.tsurunoyu.com/

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