六日町龍言
冬になると雪を見たくなる。東京に雪が降る前に。手近なのはどこだと考えて、上越新幹線に乗る。正月の二日だから宿がなかなかなくて、六日町の龍言という宿があいていた。ガーラ湯沢駅で降りて、スキーヤーがすいすい滑るそばを、雪を踏みしめて上る。空が蒼く輝き、幸せそうなスキーヤーと一緒にラーメンをすすったら、もうこれで帰ってもいい気がした。
まだ早いので、塩沢という地名にひかれて降りてみる。静かな古い町並みに、機械だが機織りの音が響く。塩沢といえば帯の名産地。「北越雪譜」の鈴木牧之の墓もあった。
ついた宿は豪農の家を移築した見事なもので、囲炉裏端でミカンを食べたあと、部屋に案内された。食事もなかなか、湯もよし、次の日は一人ずつおせちのお重が出て、ご主人が紋付袴で屠蘇をついでくれた。
森まゆみ
2004年1月24日(土曜日)公開
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